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ホームベーカリー✰リベンジ
↓前回、塩を入れなかったせいで驚くほど味気のないパンを錬成してしまった。
NO MORE 失敗パンの悲劇。
今回はちゃんと塩を準備して、いざパン作りへ。
何回作ってもレシピを覚えられないから、ホームベーカリーの説明書を引っ張り出す。
ごはんパンが好きなのでごはんパンのページを…と思ったところでハタと気づく。
ごはん、なくない…?
いや、なくはない。冷凍ご飯が一つだけ残っている。
だがしかし、何を思ったのか昆布を一緒に炊いてみた昆布ご飯だ。乾いていたときは1cm角だった昆布は、炊き上がったら倍になっていた。
昆布パン。うまそうではある。
だがしかし、立派に育った2cm角の昆布を混ぜても大丈夫なのだろうか、ホームベーカリー的に。自分で刻む気はない。面倒だから。
前回はレシピに逆らって塩を入れなかったせいで失敗した。レシピに逆らってはいけないのだ。おれは失敗を経て成長したピーポー。昆布を入れちゃダメだ。
ということはごはんパンを諦めなければならない。ごはんパンの隣ページにはフランスパンのレシピが載っている。これだ。
フランスパンのレシピはシンプルで、材料は
・強力粉
・薄力粉
・水
・塩
以上だ。
ごはんパンはバターや砂糖も入れる。
バターと砂糖なんてあればあるほど美味くなるに決まってる。フランスパン、なんだか物足りない。
だがしかしレシピは絶対なのだ。
アレンジ、ダメ、ぜったい。
バターと砂糖を入れたくなる気持ちをグッと堪え、
レシピ通りに材料を容器に入れ、
別添えでドライイーストを投入して、
スタートボタンをポチッとな。
ちなみにドライイーストは規定の倍量入れている。個別包装だから、細かいグラム数には対応できない。
1袋分全部入れる。まぁ別に大丈夫でしょ。
1.5gが3gになったところで差分はたったの1.5gだ。昨日切った爪の総量より軽い(たぶん)。こんな感じで前回は塩を入れずに失敗したけど。
✰✰✰
そして迎えた朝。
ホームベーカリーがチャイムを鳴らして焼き上がりを教えてくれる。
あいかわらず、パンの焼ける匂いは最高だ。
匂いをかぐだけでほっこりする。たとえここが極寒のキッチンだったとしても。
しばらくクンカクンカと香りを堪能した後に、満を持してOpen the ホームベーカリー。
そこには、前回よりもこんもりと膨らんだ美しいパンが。
あつあつを食べたいので慌てて切り分ける。
寒さがものすごい勢いでパンの熱を奪っていくのがわかる。待ってくれ寒気よ、今この瞬間だけは待ってくれ。
手に軽火傷を負いながら、いざ実食。
…うまい!
ごはんパンとは違ったおいしさ。
ごはんパンがもっちりと甘いのに対し、フランスパンは表面がパリパリと硬くてシンプルな味。市販のフランスパンとは全然違うが、これはこれで良きかな。
せっかくだからジャムを塗ろうと思い、冷蔵庫からあんずジャムのビンを取り出す。
が、どんなに捻っても蓋が開かない。
学生時代は学年で唯一握力50kgを超える女としてゴリエの名をほしいままにしていたのに…!
このおれに開けられないビンがあるなんて許しがたし。バターナイフでトンカンと蓋を叩いてみたが、効果はない。仕方がないので包丁の背で蓋を叩いてみた。凹む蓋のフチ。だがしかし、渾身の力を込めて捻っても開かない。
パンが冷めてしまうので、ジャムビンと格闘しつつパンも食べる。忙しい。忙しいし、パンがなくなる。パンに塗ろうと思ってジャムを出したのに、ジャムの蓋が開く前にパンがなくなってどうする。こんなに綺麗な本末転倒なかなか無いぞ。
ちょっと焦って再びビンの蓋を叩いたら、盛大に開いた。開いたというか、弾けた。
洗面台に飛び散る真っ赤なあんずジャム。
蓋が開いたんじゃない。ビンが割れている。
ビンの口が蓋ごとモッキリ折れていた。
椿は散るときに花ごとポトリと落ちるので、武士たちは「首が落ちるから縁起が悪い」と忌避したそうだが、今この惨劇を武士に見せたらどうなるんだろう。
首、モッキリと逝きまっせ。
思考停止に陥りながらも、とりあえず無事だったジャムを全部食べねばと思い、残り少なくなったパンにすべてのジャムをかけた。あんずジャムに溺れるパン。パリパリだった表面はヒタヒタのズブズブに。フランスパンのアイデンティティを奪いに奪う。すまんフランスパン。幸い、ジャムもパンも美味しいので普通に食べきった。洗面台に散ったジャムたちよ、すまない。
そもそも、ホームベーカリーで焼いたパンは何もつけなくても美味い。ジャムもバターも要らないのだ。またひとつ教訓を得てしまった。
いや、昆布ごはんじゃないごはんを用意しておくことも学んだから、得た教訓は2つだな。
前回の塩を合わせたら3つだ。
さ〜て、次回のホームベーカリーは、
① 塩を入れよう
② ごはんもいれよう
③ ジャムはやめよう
の3本です!
じゃ〜んけん、
グ〜〜〜〜〜!!!
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ちなみにじゃんけんのグ〜はお腹の音だよ。