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201129 第1回講演&トークセッション

記事および写真:パカノラ編集処 代表 小西 威史氏

【講演テーマ】
空き家、空き店舗活用の実践
〜まちの魅力づくり・住み開きHow toの心得〜
【ゲスト】
加藤陽介さん(建築家/一級建築士/インテリアプランナー)
【調布市 まちづくりプロデューサー】
髙橋大輔、菅原大輔
【ファシリテーター】
松元俊介

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 空き家を地域の「資源」として見てみると、どんな未来が生まれるのでしょうか。空き家を活用して、まちに人と人とのつながりを生むプロジェクトが、調布市で始まっています。

 まずは空き家を活用したまちづくりの実践例を学ぶため、各地で活躍されている建築家らのゲストを招き、講演&トークセッションを企画しました。ここでは2020年度に全4回で行われるその内容を紹介していきます。

 初回のゲストは建築家であり、「楓設計室」代表取締役の加藤陽介さん。八王子市にある事務所は、築70年の元・酒屋さんの2階建ての空き店舗を活用したものです。2階を事務所に、1階はカフェ&ギャラリー&寺子屋の「町家カフェ金多屋」として地域に開いています。夏場のカフェメニューのかき氷は、テレビの情報番組でも取り上げられるほど有名だそうです。

1.調布の魅力を探ること

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 加藤さんはまず「調布市の魅力って、なんでしょうか?」と、会場に問いかけました。まちづくりプロデューサーで共立女子大学教授の髙橋大輔さんは「歩くこと、自転車やバスに乗ることでどこへでも行けること。交通インフラがバランスよく整っているので、多世代にわたって住みやすい。人が移動するから、まちが動いている」と答えました。

 同じくまちづくりプロデューサーであり、調布市富士見町でまちのリビング+カフェ「FUJIMI LOUNGE」を運営する建築家の菅原大輔さんは「観光地も含めて文化的な深度が深いまちで、大学も多い。都心からの圧倒的な近さでアクセスしやすいこと」としました。
 加藤さんはうなずきながら、「それぞれのまちには、長い歴史の中で培ってきた魅力があります。空き家を使ったまちづくりを考えるなら、まずはそのまちの魅力を見つけることから始まります」と話しました。

2.人が住んでいた家の活用、最も大切なのは「想い」

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 続いて加藤さんは、空き家を活用したいと思ったときは、①所有者側はまず発信すること、②使いたい側は常にアンテナを立てて情報を受信すること、③その地域の特性とニーズを知ることが大切だとしました。
 そのうえで、空き家の活用の要は「想い」だと指摘しました。
「空き家所有者の本当の資産は『想い』です。それぞれの家には家族との思い出など、それぞれの思い入れがあります。そこを丁寧に読み解き、どんな使い方をしたいのかの話などをしていくことで、『ぜひ使ってください』という流れにもなります」

3.未来はいつも子どもたちのためのもの

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 また、空き家の維持管理の最も大切なポイントとして、①建物の定期的な清掃とメンテナンス、②土地や建物のことを正しく知っておくことを挙げました。
「建物は使われなくなると劣化が進みます。お手入れをせず放置すると、近隣に迷惑をかけることもあります。定期的に窓を開けて空気を入れ替えたり、庭のお手入れをしたりするだけでも状態に違いがでます。定期的に様子を見て適切な維持管理を心がけましょう。また、所有する土地や建物のことを正しく知っておくことも大変重要です。建物診断を建築士などの専門家にしてもらい、現在の状態について正しく把握することで、必要なメンテナンスや資産価値について理解を深めることができます。中古物件を購入する際にも専門家に見てもらうことが大切です。購入後のトラブルを未然に防ぐことにもなります」と加藤さん。
そして最後にこう締めくくりました。「まちの風景はいつも更新していくものです。次の世代に私たちは何を残すのか。未来は子どもたちのためのものです。まちづくりを考えるときには、子どもたちもぜひ巻き込んでほしい。そうすると子どもたちはそのまちに愛着を持つようになります」

4.トークセッション

講演後に行われた加藤さんと髙橋さん、菅原さんとのトークセッションの一部を紹介します!

髙橋:空き家をまちで活用していくためには、地域の方の協力が不可欠ですが、加藤さんはどのようにされていますか?

加藤:その後の持続、自走のことまでを考えると、私はあまり出すぎず、ファシリテーター程度でいるようにしています。ただし、空き家を店舗としてリノベーションする場合などは事業計画段階からアドバイスをしたりします。利益が出ないと事業は持続できませんから。そして、土地や用途などの契約内容の確認はきちんとするようにしています。

菅原:大事なことを教えてもらったように思います。空き家対策事業では儲けのことはあまり話されない雰囲気があります。でもいかにいい事業をしても、美しい場所をつくっても、儲けのことまで考えておかないと、結局は持続せずにその場所がなくなってしまいます。

加藤:たしかにそのとおりです。先ほどの講演の中で空き家活用では地域の特性とニーズを知ることが大切だと言いましたが、実はその先のウォントを考えることが重要です。「あそこへ行きたい」と思わせるウォントはなにか、それを考えながら事業を進めることがポイントになってきます。

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