【KUTANI SEAL】の道行#4「加賀いろは・共に歩んだ道」
こんにちは。上出惠悟です。
大学で芸術を学んだので、金沢21世紀美術館が開館して間もない数年間、多くの友人達が金沢を訪れました。高校時代を金沢で過ごした私にとって、地元に友人が遊びに来るのは嬉しいもので、一緒に石川旅行を楽しむように、様々な場所へ案内しました。旅行者として金沢を歩いてみると、それまで知っているつもりで知らなかった街の歴史や文化に触れることが出来ます。その時間は当時の私にとって非常に貴重な学びでした。
九谷焼についても同様で、石川県民の多くは「祖父の家にあるちょっとくどい絵付のある焼物」といった印象で止まっている方も少なくないのではないでしょうか。その土地のことを住んでいる人が、その魅力を知らないのは少し残念なことです。話が逸れましたが、私には当時、友人が来た際にいつも案内するお気に入りの喫茶店がありました。雰囲気のある街並み、建築、お茶の香りが心地よく、いつ訪れても東京にはない穏やかな時間が流れる場所で、金沢らしさを感じることが出来たのです。それはひがし茶屋街にある茶房一笑(現・一笑)というお店です。
茶房一笑は、加賀棒茶で有名な加賀市の丸八製茶場が経営するお店で、ひがし茶屋街が現在のように多くの観光客で賑わう以前から存在する数少ないお店の一つです。ある日、丸八製茶場の社長だった丸谷誠一郎さん(現・会長)にお呼びいただき、茶房一笑を一人で訪れました。そこで丸谷社長の口から飛び出した言葉に、私は驚かされることになります。
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