【干支水滴 辰】の道行#1「真っ直ぐ進む道」
こんにちは。上出惠悟です。
【窯まつり・絵付】の道行の完結を未だお見せ出来ていませんが、この道行を始める際の問いであった「なぜ私たちは手で作るのか」という大きなテーマがまだ纏められていませんので、今回は発売目前の【干支水滴 辰】の道行をお届けしたいと思います。
寅年、卯年と2年続けて「干支水滴」の道行を書いて来ました。ですので、新しい年の水滴も楽しみにされていた方も多いのではないかと思うのですが、今回は書かないだろうと【窯まつり・絵付】の道行を綴りながら思っていました。何故ならば、辰の水滴はこれと言って紆余曲折しなかったからです。初めから終わりまで思った通りに真っ直ぐ進む道なんて何にも面白くないではないか。ご同行頂くのも忍びないと思いましたが、何よりも簡単に出来上がったことを知った紆余曲折(そして更新の遅れ)に慣れた道行の皆様は、新しい水滴を見ても深みのない薄っぺらな物に感じてしまい、感動がなくなるのではないかという恐れがありました。しかし考えてみれば、開発に時間を要さずスムーズに出来上がるのは私達メーカーにとっては寧ろ歓迎すべきことで、その完成度に問題がなければ卑屈になる必要はありません。この先私達も円熟の域に達すれば、彼のモーゼのようにびしっと杖を振って行く先を指し示し、道なきところに奇跡の道が現れるような感動的な到達を皆様にお見せできるようになるかもしれません。
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