【窯まつり・絵付】の道行#6「基本と応用」
こんにちは。上出惠悟です。
私の住む石川県は日本で最も多く雷が発生する地域だそうです。雷の研究者にとっては非常に良い環境だというような事を以前に耳にしたことがあります。しかし雷を嫌う犬にとっては最悪な環境だと言えるかもしれません。私が飼っている二匹の小さな犬達も異常に雷を怖がっていつもぶるぶると震えて可哀想です。特に兄のかめちよは雷が鳴ると恐れおののき、我を失ったかのように高いところへ登りたがるので、四国のブリーダーさんから引き取って石川に連れて来たことを何だか気の毒に感じることがあります。
冬、吹雪と一緒に雷が鳴る恐ろしい「雷雪」も決して珍しいことではなく、石川県ではこれを「鰤(ブリ)起こし」と呼んで「ああ、これでまた鰤が美味しくなる」と呑気に思っています。犬には全く信じられない事でしょう。
話は少し変わりますが、今年の4月にスタイリストの三田真一さんからお電話があり、そこで雷と狼の人形を作って欲しいと依頼を受けました。雷と狼、いずれにも「カミ」という言葉が含まれていることにお気付きでしょう(そして私にも)。三田さんは宇宙と並行世界(パラレルワールド)をテーマにした個展を福岡の太宰府天満宮で開催することになっており、その二つの人形はかつて宇宙や時空を旅する人が信仰した対象として作って欲しいということでした。
さて、この二つをどう定義すれば良いのだろうかと考えました。雷(カミナリ)の語源は「神鳴り」。神様が鳴らすものとして畏れられて来たと同時に稲を結実させる存在、稲の伴侶と理解され「稲妻」とも呼ばれています。かたや狼(オオカミ)の語源は「大神」とされ、害獣から作物を守るもの、都市部では火除け、盗賊避けとして神格化されています。そしてご存知の通り、日本では残念ながら絶滅してしまいました。
私は雷を天(神)から大地(人間)へ届けられるもの(↓受信)として捉え、また狼は天に向かって咆哮する(↑送信)存在として考えました。これらがどのような造形になり、どのような展示になったのか、「in-Spire」と題された展示が既に始まっていますので是非実物をご覧いただければと思います。三田さんの個展ではありますが、参加者全員で作り上げた展覧会です。
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上出長右衛門窯の道行
現在進行中の新作開発の紆余曲折するストーリーを、テキスト、写真でお伝えしています。旅は道連れ世は情け。これまで秘密にしていた新作とそのアイ…
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