生きる背骨
「人がまっすぐ立てるのは、背骨があるからだ。体の背骨は生まれたときからあるが、心の背骨は君たちが自分で作っていくんだよ。」
小学生の頃、非常に体が弱かった僕は、親から水泳と剣道を習わされていた。剣道は、近くの警察署の3階に週に3日通っていた。警察署の少年剣道は警察官の師範が教えるものだが、その警察署の場合は、近くに剣道の有名な先生が住んでいたので、その人が通って教えてくれていた。
どう見ても「おじいさん」としか呼べない老年の師匠は、背は低く骨ばってはいたが、姿勢だけはまっすぐ前を向いていた。猫背の僕はよく怒られた。
師匠は剣道の他、柔道のような体術や、居合の形も教えてくれたが、なによりも冒頭のような、処世訓を色々と講義してくれた。それは「武道の極意」という名でコーティングされた、見事な人生哲学だったような気がする。
その中でも僕が今でも自分の支えにしている言葉は、
「自分が自分の意志で動かすことができるものは、自分の心・技・体だけ。それを極限まで、自分の思う通りに操作できるようになること。それ以外のもの、自分のまわりのこと、相手の心・技・体、これから先に起こること、そういうものに決して心を奪われないこと。」
というものだ。HSPで周囲や未来に心を奪われやすい僕にとっては、大切な道標になっている。
もう一つ。
「武道の極意は、今、そばにあるものでなんとかする。これが一番大切。」
という言葉は、とても気に入っていて、ひそかにうちの家訓として大切にしている。
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