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障害のある子の学びの場②

『特別支援学級及び通級の運用変更について』語り合う会


『特別支援学級及び通級の運用変更について』語り合う会 ~文科省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」を受けて~

昨日、上記のような会議に参加してみました。
みんなどんな意見があるのかなと思っていましたが、予想通り文科省や教育長の批判が大半だったような気がします。

私は、この通知の「適切な運用に向けて」という部分に今までの不適切な運用があって、それを指摘されているんだと解釈しています。そう考えると、文科省の通知も納得できる部分があるのですが、「今までのやり方はよかった。」「今までのやり方がインクルーシブで、この通知を実行する事はインクルーシブに逆行する。」と考えてしまうと、いくら議論をしても平行線のような気がしました。

私の考える不適切な部分(私の勤める自治体の例ですが)



①入級に基準がない(障害種別は問わない。審査もない。保護者又は担任の意見一つで決まる。各校の判断で入級できる。)
根拠のない入級が横行し、支援学級の教室が足りない時は1つの教室をパーテーションで仕切って2クラスで使うので、クーラーのない教室(上が空いているので隣に教室からちょっと冷気が来る程度)もある。そして、上が空いているので声がまる聞こえで、静かな環境を望む子にとってはしんどい環境となっている。

②支援が必要(学習面での遅れがほとんど)な児童はみんな支援学級に入れるのがいいと思っている教員が多い。
→通常の学級でも合理的配慮や特別支援は実施できるのに、支援学級でないとできない、または支援学級でするのが良いと思っている人が多い。


③当該学年の授業の補充(個別指導)がほとんどで、支援担は通常の学級の補助をする人と思われている。
→支援学級の担任が特別の教育課程や自立活動を取り入れて個別の指導計画をもとに授業をしようとしても、通常の学級からやり残しのドリルやプリント、忘れてきた宿題、時には図工、家庭科の課題、新聞づくり、作文など通常の学級での課題を大量に抱えてくるので、個別の教科補充の場となっている場合が多い。


④自立活動をしていない、または教員が知らない。
→支援学級がそもそも障害のある児童のためのクラスであるとか、障害種別に設置されていることすら知らないで支援学級の担任をしている人が相当数いるし、研修などもほぼない。


⑤クラス数を増やすために児童の障害種別を変更したりしている。
→管理職や市教委に指示されたことは何度もある。


⑥障害種別を保護者に伝えていない学校が多い。
→入級時の説明が曖昧なので後にトラブルになるケースもある。

⑦年度当初に府教委に出す書類と本人の実態があっていないが、チェックはない。
→書類は府教委に出す前に市教委のチェックで書き直しをさせられる。実態に合っているかというチェックはなく、府教委に通る書類を書くことを求められる。

⑧在籍しているが、実際には全く利用していなかったり、ほとんど利用していない、架空在籍も保護者が望めば認めている。
→困った時の居場所として心配なので、一応確保してほしいとの要望がある。

などで、私はこういった学校体制や市教委の体制には疑問があったし、税金をこんな風に使っていいのかなと思っていました。


どっちがインクルーシブ?

今の現状では、支援学級在籍児童が急増してるってことは、通常の授業に参加していない子が相当数いるってことで、昨日の会議でも、「合理的配慮というか、合理的排除というか・・・。」と発言されていた方もいて、確かに通常の教育からの排除されていると感じることもあります。
インクルーシブ教育が「障害のある子ども、障害のない子どもがともに学ぶ教育システム」と言われているわりに、かなりの数の子が通常の授業を受けていないのはインクルーシブなのでしょうか?

今回の通知で、支援学級を退級して通常の学級での授業を受けられる子が増えるのは、インクルーシブに逆行することなのでしょうか?

ただ、通常の学級に戻る大前提として、通常の学級での合理的配慮と支援があるということです。そういうと、「担任一人では無理です。」といわれそうだけど、完璧にできなくても支援しようという気持ちがあると、先生のようにその子を支えようとするクラスの子どもたちが出てくると思います。担任の先生一人で支援するっていうより、みんなで支援できる小さな社会が通常の学級だったらいいなと思います。保護者だって、本人だって、先生一人に何でもやってもらおうとか思ってる人は少ないと思います。
そういう、みんなで支え合うあったかいクラスの中で、支援される側も周りの子も先生も成長していくのではないかなと思います。そういう経験が今後の共生社会につながっていくのではいかなと感じています。


まとめ

結局、障害のある子の学びの場を検討するときに、今の「通常の学級」が変わらなければ、そこからはみ出してしまう子や学習がゆっくりな子は居場所を見つけられず、他の居場所として「支援学級」「支援学校」を検討することになってしまうのではないか。共生社会を目指すのであれば、小さい時からいろいろな学び方をする子がともに学んでいく方が、共生社会を作り上げる土台ができるのではないか、と考えます。

「障害のある子」をどこに入れるのかという議論ばかりが先行していますが、今のクラスにどうやって障害のある子を入れて、共に学んでいけるのかという議論がもっと盛り上がるといいのにと思っています。


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