0816 結婚観

眠れないので、さっき読んだ小説の中で刺さった一節を。

「自分が惚れた男と結婚するのと、惚れてない男と結婚するのとじゃあ、惚れてない男と結婚する方がいいよね」と、風変わりなことを唐突に言うのです。
「斬新な説ですね」
「なぜならばだ、惚れると理性を失って正確な判断ができなくなる。したがって惚れた男を選ぶよりも、惚れてない男を選ぶ方が理性的な選択ができるわけだ。長い人生をともにするのだから判断は慎重にも慎重を重ねて合理的に下さねばならぬ。恋愛感情というのは合理的に説明できないものだから、したがって結婚という問題にはそもそもそぐわない。また、惚れた男と結婚した場合にはだんだん情熱が冷めてゆく哀しみを味わわなければならないが、惚れてない男と結婚すれば冷めようがない。もともと情熱がないからだ。さらなる利点は、惚れてない夫であれば、彼の浮気に苦しむ必要がない。なぜなら嫉妬するということがないからだ。そういう無益な煩悶から自由になれる。論理的に考えれば分かるはずだ。女性は自分が惚れていない男と結婚するべきなのだ。それなのになぜ、惚れた男と結婚するのだ。みんな真実が見えないのか!」
森見登美彦 夜は短し、歩けよ乙女 より

なるほど、目から鱗というか、そんな考え方もありだなと。
何事も感情先行の人間なので、好き同士でないと結婚は難しいかなと凝り固まった考えだったけれど、これはこれで楽に生きれそうな気がしました。
むしろ、感情よりステータスであったり、自分の生活を優先させて結婚してる人なんて当たり前にいるよね。

自分の中のこうあるべき、が強くて自分を苦しめている部分が沢山あります。恋愛観、結婚観もしかりです。
そんな中で、少し心が軽くなったような、新しい風が吹いたような気がしました。読んでよかった。


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