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広告マンが語りたがらないSNSマーケティング5つの真実とは?

広告代理店で働く私が、「SNSマーケテイングの真実」について書いてみようと思います。

※タイトルが分かりづらいですが、SNSの魅力について語る記事です。

世の中の意見というのはポジショントークで溢れているわけですが、とりわけSNSマーケの評価はかなりポジショントークで歪められています。

その理由はズバリ、情報を発信する広告人・メディア人が、意図的に自分に都合の良いポジショントークをしているからです。そこで今回は、『SNSマーケティングの真実』と表現させていただきました。

基本的に、広告マンとメディア人はSNSマーケティングについて、話をしたがりません。

その理由を含めて、本日はSNSマーケティングの真実と魅力についてお話します。

SNSマーケティングの普及を恐れる広告・メディア業界

そもそも、なぜ広告業界・メディア業界がSNSマーケティングを強く推さないのか?

そこには、ビジネス構造上、広告マンとメディア人がSNSマーケをプッシュできない理由があります。まずはそこからお話しましょう。

メディア業界(テレビ、新聞、WEBメディア、GoogleやFacebookも)は、自社が抱えるメディアに広告を載せることで、売上を立てています。

そして広告業界は、メディア人と協力して、広告枠に載せるクリエイティブも併せて作りつつ、広告表現を広告枠に載せています。

※広告人は広告表現(クリエイティブ)を作ることで稼いでいるように見えますが、売上の実態は、広告枠が売上8,9割を占めています。

つまり、広告人とメディア人の売り物は「広告枠」。彼ら(というか私も)はこの枠を売ることで、飯を食っています。

「広告枠を売る」のイメージがつかない人に説明すると、こういうYahooトップに出てくるバナー枠も1つの広告枠です。

Yahoo Japanもたくさんのニュース記事や各ジャンルの情報を配信していますが、Yahooというメディアもこういった広告枠を売ることで売上を立てています。

ところで、「広告枠」がもつ価値とは何でしょうか?

広告枠が持つ価値は、企業が自力で接触できない人達にリーチできることにあります。つまり、広告枠が企業の販促活動の役割を担ってくれるわけです。

自社が持つ商品を、広告枠が代わりに宣伝してくれる。

これが、日本の広告費が年間6兆円に上る理由です。

ではでは、本日の本題SNSマーケティングを見てみましょう。

広告が「自社が持つ商品の良さを、代わりに宣伝してくれる」機能だとすると、SNSマーケティングとは「自社がもつ商品の良さを、自らの声で伝える」ことが特徴だと言えます

つまり、SNSマーケが成立すると、従来の広告・メディア人が提供している価値そのものが毀損されることになります。しかも、後ほど詳しく書きますが、SNSはフォロワーを抱えれば抱えるほどリーチ量が増える仕組みになっているので、SNSに力を入れれば入れるほど、外部に依頼することなく集客ができるようになります。

この図は少し極端ではありますが、SNS集客に成功すればするほど、自社商品への集客を広告に頼る必要がなくなるため、販促費用を削減することができます。

逆の視点でいうと、広告マン・メディア人にとって、SNSマーケティングの普及は広告・メディア企業の売上減につながるわけです。

これが、広告マンとメディア人がSNSマーケティングを推さない根本的な理由なんです。

このように、ビジネス収益の構造上、業界全体でSNSマーケティングの良さを訴えづらい傾向があるため、SNSマーケティングはそのメリットと比較して過小評価されていると考えています。

では、ここからSNSマーケティングの魅力について見ていきましょう。

魅力1:お金をかけずに見込み顧客にリーチできる

先ほどもチラッと伝えた通り、まずSNSマーケの圧倒的な魅力は、販促費用が不要になる点です。

商品を持つ企業は、あの手この手を使って、自社商品を顧客に知ってもらい、購入まで行きつきたいと考えます。

しかし普通の会社では、自前で確保できるリーチ力には限りがあります。たとえば、路上で店舗を出しているお店のリーチ範囲は、お店の前を歩いた人に限られます。

それでは顧客のパイが小さすぎるので、電車広告や新聞・チラシ、WEB広告を出すことで、「お金をかけて」認知のパイを広げています。

これが、「SNS以前」の王道の販促手法です。

SNSは「お金のかからない」顧客リーチ手段になります。フォロワーが1000人なら、見込み顧客1000人に「無料で」情報を届けることができます。しかも、SNSのシェア機能とユーザー自身の投稿によって、1つの情報が、2つ3つと大きく伝播していくことも可能です。

右の図のように、生活者ひとりひとりが発信者となりえるSNSワールドでは、無料の情報発信にもかかわらず、多くの人に声を届けられる可能性があるのです。

魅力2:広告では難しい、購入の後押しもできる

次に、従来の広告以上に、深いコミュニケーションが取れるのも、SNSマーケティングの大きな魅力です。ここでいう深いコミュニケーションとは、「購入直前の人の背中を押せる」ことを意味します。

顧客の購買フローをシンプルに「認知→興味→検討→購入」とすると、これまでの広告機能は主に「認知・興味獲得」にとどまっていました。

TVCMで新しい化粧品を知り、なんとなく興味を持ったものの、購入の意思決定はAmazonや価格コム、インスタのレビューを見て決める。みたいな感じです。

一方で、SNSメディアは購入寸前の人たちの背中を押す機能も備えています。

最近の消費者は、SNSで口コミを調べ、商品を購入するか決めています。基本は、実際に使った人のレビューを集めているのですが、そこに企業自らの言葉があれば、イチ利用者と同じ見え方で企業からのメッセージが受け取られるようになります。

購入寸前の消費者と直接コミュニケーションが取れる

これはTVCMや街頭の看板広告には厳しい、SNSツールだからできることだと思います。

商品購入を決めるにあたり、SNSがどういう役割を果たしているのか、こちらの記事もオススメです。

魅力3:SNSはストック型のコミュニケーションツール

もう一つ、広告との対比で言えるSNSの大きな魅力があります。

広告:フロー型の販促ツール
SNS:ストック型の販促ツール

簡単にいうと、広告はフローですが、SNSはストック(資産性)です。

ここでいうストックとは、大きく2つの意味があります。

-正のキャッシュ(集客)フローを生み出す
-フォロワーが積み重なっていく

まずは、広告の集客→購買行動を見てみます。

従来の広告ファネル思考では、広告を投下しないと新規集客ができません。

つまり、このファネル思考に陥っている限り、お金を延々と投下し続けなければなりません。企業側からすると、つねにフローを生み出さないと、新規集客→購買ができない状態です。

(※裏返すと、広告代理店とメディア側が儲かる理由でもあります。)

一方で、SNSの集客はどうでしょうか。

フォロワーが1000人いれば、
いつでも1000人に企業の声を届けることができます。

広告に頼っていると、1000人に声を届けるためにも毎回お金がかかるもの。広告を使って毎月1000人に声をかけたい場合は、1000人に届く広告施策×12か月分のメディア費用がかかります。

これがSNSの場合だと、自社でフォロワーを1000人抱えているので、仮に毎月1000人に声を届けたい場合も、お金はかかりません。

このように、SNSは自社の販促資産なので、毎回正の集客フローを生み出すことができるんです。

もう1つストック性があると言えるのは、フォロワーが積み上げ方式で増えていく点です。

twitterでの拡散、インスタでの人気アカウントの露出増など、SNSのフォロワーは時間の経過とともにどんどん伸びる傾向があります。たとえばこちらは森美術館のフォロワー推移数です。

今では、SNSで合計40万人以上のフォロワーを抱える森美術館も、どのアカウントも1万以下からジワジワ上げていることが分かりますよね。

魅力4:SNSはブランド形成にも役立つ

SNSはブランド形成にも役立ちます。

広告はどうしても、商売のオーラが醸し出されてしまいます。

TVCMを見ている視聴者は、無意識のうちに「どうせ、この商品を売りたいんでしょ?」ってスタンスで15秒CMを見ていることが多いです。

一方で、いまのところSNS上のコミュニケーション、つまり企業起点の発信は、必ずしも「あぁ、この人はこの商品を売りつけたいんだな」と認識されることはありません。

SNS自体が情報を取得する場なので、もともと欲しい情報であれば、広告のように嫌悪感を抱かれることなく、ユーザーも好意的に情報を受け取りにいきます。

ユーザーの文脈にさえあっていれば、広告ほど嫌悪感を抱かれることがないためブランド形成に役立ちやすいのです。

たとえば無印良品は、「シンプル」を切り口に一貫したSNS投稿を続け、今では171万フォロワーを有しています。

ちなみに、ハッシュタグ無印良品で検索すると、消費者が自然発生的に生みだしたタイムラインでも、見事に世界観が統一されるようになっています。

地道ながら、「シンプル」というコンセプトを浸透させた良品計画の努力の賜物だと思います。

これは、今流行りのUGC(User Genarated Content)でしょう。

UGCとは、ユーザー自身が作ったコンテンツで、
ユーザーが自分の意思で投稿したコンテンツを指します。

もちろん無印良品の場合は、店舗がメインにもあり、生活者との接触がSNSの点ではなく面で抑えられており、ブランドイメージを作りやすい構造ではあります。ただ、171万人のフォロワーを抱えているという事実が、SNS上でのコミュニケーションで、商品ブランドのイメージを作り出していることを物語っていると言えます。

魅力4.1 小資本がブランド選好を高めやすいのがSNSマーケティング

AmazonやGoogle、コカ・コーラやマクドナルドなど、マーケティングは巨大資本に有利な構造になっています。

とくに価格と認知力。

たとえば、巨大資本のほうが製造コストを抑えられるので、同じモノを作っても巨大メーカーより価格が高くなってしまう。しかも頑張って価格を抑えたとしても、「同じ値段なら自分が知っている企業の商品を買おう」と無意識的に思われてしまいます。

つまり、競合と同じマーケティング手法をやっていても、価格と認知度で、負けてしまうのです。

そこで、SNSコミュニケーションの出番です。ここで紹介したいのが、「ファンベースマーケティング」というもの。

(1)ファンは売上の大半を支え、伸ばしてくれるから
(2)時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってくる(3)ファンが新たなファンを作ってくれるから

ファンベースの筆者さとなおさんは、商品供給が過剰の時代には、便益だけでは差がつかず、「その商品のファンであるか?」が商品購入のキーファクターになると説きます。

この上の意見には、直感的に納得できるのではないでしょうか。

そして、ファンベースマーケの鍵がSNSになります。これまではサイトと広告でしか知れなかった商品情報が、SNSを通して、商品を作った人が自ら使い方を教えてくれる。このようなやりとりがあれば、ファンはさらにファンになっていきます。

自社商品のファンを増やし、そしてそのファンの濃度を濃くすること、これこそが、巨大資本とも一線を画すマーケティングができる唯一の手法になりえます。

魅力5:デジタルマーケ世界では、この1,2年でSNSマーケに追い風が吹きはじめる

僕の見立てでは、これから数年でSNSマーケティングの勢力はさらに拡大すると踏んでいます。

その理由は、現状のデジタル広告への規制ラッシュです。

今のデジタルマーケティング業界は、「取れるデータは何にでも活用して良い」を原則に動いており、いわゆる無法地帯な状況です。

普段ユーザーがどんなサイトを見ているのか、閲覧履歴から、広告をぶつける相手を選ぶターゲティング機能なども、あたりまえのように実装されています。自社の製品と親和性の高い人たちに広告をぶつけることができるので、広告投資効率はバツグンに良いです。

ただそんな効率の良いデジタル広告も、昨年あたりから一気に規制ムードになってきています。

Googleはこの提案のなかで、広告表示に関して、企業はユーザーにデータプライバシー設定の裁量を認めるべきだと主張した。その大原則は、どんな個人データを、誰が、何の目的で収集しているかをユーザーに可視化し制御できるようにすることと、どこの企業が広告表示に責任を負っていて、どのように広告のパーソナライズがなされているかの情報を提供することだ

指摘されている内容はごもっとも過ぎるので、個人のプライバシーを守るためにも、デジタル広告への規制は強まるばかりだと予想します。

となるとデジタル広告の長所は数値化(効果の見える化)だけになるので、相対的に他の宣伝手法より魅力が落ちるようになり、直接消費者とコミュニケーションができるSNSマーケティングの地位が上がるようになります。

このように、デジタルマーケティングを俯瞰してSNSの点を見てみると、コミュニケーションツールとして優勢なポジションにいることが分かります。

デジタル広告の規制が強まるほど、
相対的にSNSマーケティングの価値は上がる。

【おわりに】小資本企業こそSNSマーケに取り組んでみよう

簡単にまとめます。SNSマーケが魅力的なポイントは以下の5つだと説明してきました。

①お金がかからない
②広告では難しい購入の後押しもできる
③SNSはストック型のメディア
④ブランド形成にも役立つ
⑤デジタルマーケの規制で、SNSの価値が上がる。

あなたがもし有名大企業のマーケターでないのであれば、自社企業のSNSアカウントを「とりあえず」の感覚で運用し始めるのは、個人的にアリだと思います。

情報を出せば出すほど、その情報に対するフィードバックが返ってくる情報発信の法則は、企業や商品についても当てはまります。

自社商品の認知を広げるだけではなく、サービス改善や生の口コミ・評判を知るチャンスでもあります。

どんなアカウントも最初はフォロワー0から始まるからこそ、手探りでもいいのでSNS運用をスタートしてみるのが良いと思います。

ここで、「SNSアカウントの運用方法が分からない・・・・」という方は、私が無料で提供しているSNSの教科書を読んでみましょう!

と、自社商品の宣伝やバックエンドへの勧誘があれば、僕の利益を最大化できるのでしょうが、残念ながらそういうものは持ち合わせておりません。

なので代わりに、企業(もちろん個人も)がSNSを活用するためにオススメの本を2冊紹介しましょう!

一冊目は先月発売になったばかりの、「僕らはSNSでモノを買う」です。SNSマーケ支援会社のホットリンクの飯髙さんが書かれた一冊。

「ユーザーが生み出したUGC(投稿)を起点に、モノが売れるサイクルを作って行こう!」と今デジタルメディアで起きている潮流をとらえた一冊です。先ほど紹介したウルサスモデルはこちらの本から引用させていただきました。

続いてもう1冊が、森美術館SNSの中の人が赤裸々にSNSマーケティングの実践歴を書いた本です。森美術館の狙いとその成果が施策ごとに書かれているので、僕自身読んでいて学びが多かった。

SNSシェアとの相性がよさそうな美術館だから成功したんじゃない?と疑いながら手に取ったのですが、実際にはどんな事業会社も参考になる教訓が並んでいます。

この2つに目をとおせば、「とりあえず」の感覚でSNSマーケティングにトライしてみるのがいいのではないでしょうか。

そこそこ大きな企業で、自分が属する会社名を名乗ってSNSアカウントを開設できないのなら、匿名アカウントでSNSを運用するのも手です。消費者感覚、マーケット感覚を捉えるのに、SNS以上に良い場はありませんから。


本日は、これからのマーケティング世界でさらに勢力を増していく、SNSの魅力についてでした。

長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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