持続可能なSNSマーケには、文化性を帯びたコンセプトを!
今日は、SNSマーケについて書いていきます。
「たしかにSNSは流行っているけど、なかなかその潮流に乗れない・・・・」と思っている方は、企業だけではなく個人アカウントを運用している方でも多いのではないでしょうか?
・インスタの公式アカウントを作ったけど、全然使い方が分からない
・何をつぶやいたらいいのか分からない
・SNSに投稿しても、全然反応がない
・ツイートがまったくシェアされない
・消費者によるツイートや投稿(UGC)が生まれない
などなどが、企業アカウントとしてSNSを運用する人の大きな悩みごとです(僕が仕事でよく聞く悩みTOP5です)
その結果、結局SNSの扱い方が分からず、インフルエンサーや代理店にお願いしてみる。そして、一時的にインフルエンサーパワーでバズが起きるも、一週間後には以前と変わらない状態に戻る。
このようなことが、多くの企業アカウントに起きている実態です。
むしろ理想とされるSNSマーケティングはこんな感じ。たとえば、
投稿したら、必ず反応がありシェアされる
消費者自身が、自社商品を載せてSNSに投稿をする
勝手に自社情報が拡散されるようになる。
このようなSNS上での好循環はどのようにして生まれるのでしょうか。
結論から言うと、文化性を帯びたコンセプトを意識すること。ここがカチッとユーザーにハマれば、企業発信の投稿にも反応が出たり、ユーザーからの投稿も自然と増えていきます。
そして、今日SNSマーケについて語っていくうえで、参考にしたい一冊がこちら。
森美術館は2018年美術展覧会「入場者数」1位・2位を達成しました。その背景には、日本の美術館・博物館の中で最大規模のSNSフォロワー数を活用したデジタルマーケティング戦略があります。本書では、森美術館がこれまで取り組んできた展覧会におけるさまざまなSNSの取り組みを紹介しています。現代アートにおけるプロモーションの最前線を知っていただきながら、アートとSNSの相性のこと、多少の失敗談など、楽しみながら読んでもらえる内容になっています。
たまたま、twitterのTL上でこの本に巡り合い、そっこうでポチってしまいました。SNSマーケの本質が詰まっており、ここからの学びをもとに今日のnoteを書いていきます。
文化・芸術は経済の上にあるもの
森美術館のSNS運用のベースは、森美術館の理念に基づきます。その理念が生まれたエピソードが、森美術館を六本木ヒルズの最上階にすえた理由にあります。
文化・芸術の力で、六本木という街から、東京全体の磁力を上げていきたいとの思いがあったのです。中には収益性の問題で、高層階に美術館を設置することに反対する意見もありました。それでも森稔は、「文化・芸術は経済よりも上にあるべきものだ」と語り、文字通りタワーの最上層に森美術館を設置したのです。
僕はこの文章を読んだとき、唸りました。そして人がSNSでシェアしたくなるヒントがここに隠されていると思いましたね。
「文化・芸術は経済よりも上にあるべきもの」
これをSNSマーケティングに置き換えると、
「文化・体験は商売(セールス)に勝る」です。
最近のSNSマーケットから、商売が透けて見えるコンテンツはシェアされにくく、直接的な体験は広まりやすい傾向があることが分かってきました。
この人の深層心理を抑えたのが、森美術館SNSの中の人。
森美術館のSNS運用の目的は、あくまで来館者アップ。しかしながら、ユーザーがシェアをする目的はあくまで文化や体験。このギャップを理解したうえで、SNS運用に取り組んでいます。
「森美術館で○○展やってるよ!1500円!」などのようなセールス感は一切排除され、あくまでSNS上ではコンテンツに目が向けられること、ここに焦点を当てSNSを活用されています。
文化性を帯びたコンセプトがあれば、それを伝えるだけでいい
森美術館の中の人は、SNS運用で心掛けていることとして、「コンテンツに+αを加え過ぎない」点をあげています。
森美術館のSNSは特別なことをしない。基本情報を繰り返し伝えていくことを心がけています。
スターバックスの担当者さんとは、セミナーでご一緒させていただくことがあるのですが、お互いに一致しているのは、「広告的な投稿をしない」ということ。森美術館と同様、こんな新商品が出ました、いくらです、買ってください、みたいな投稿はしないということです。
真剣なモノ作りや、表現の世界においては、マーケティングはあとから考えるほうが結果的によいものになると感じることがよくあります。もちろん、そもそもの方向性だけは間違ってはいけないので、そのサービスや製品の必要性を十分に検討することは必要です。しかし、もともとのコンテンツを最大限に活かすほうが、マーケティング的にも効果を発揮します。
はじめから商品・コンテンツに良さがあるのなら、過度に加工することなく、そのまま押し出していく。これが、森美術館のSNS運用の基本方針です。
マーケティングとは、「プロダクト力×プロモーション力」の掛け算でその威力が決まりますが、あくまでプロダクトに重きを置いたSNS運用を心掛けているわけです。
これからは意味があるものしか売れなくなる
ちょっと余談なのですが、先日面白い記事を見かけました。
この山口周さんの記事をまるっと要約すると、
「これからは役に立つ商品は不要になり、意味があるものしか売れなくなる」というもの。
「役に立たないけど意味がある」っていう自動車は2億円で売れるんです。で、「役に立つ自動車」っていうのはせいぜい100万円から300万円でしか売れない。何を言ってるかっていうと、「役に立つ」っていうことに価値がもうない時代になってるんです。
そこで考えなくちゃいけないのが、「どちらのほうが強豪として生き残れるか、サスティナブルか」っていうことなんですね。市場がグローバル化していくと、役に立つ市場で戦ってる企業はグローバル競争にさらされて、一番役に立つ1社だけが残ってほかが全部負ける、っていう世界がやってきます。
森美術館本を読んだ後に、この記事に目を通すと、
「SNSでシェアされないコトは売れなくなる」と思えてきました。というのも、「文化・体験=意味があるもの」だから。
意味があるものしか売れない時代とは、シェアされやすいコトが売れる時代と同義であり、SNSの反響が1つの「売れる」指標になっていくと感じます。
無印良品は「シンプル」を串刺しにして、商売をしている。
ここで、「森美術館は、売り物が美術品だから、発信コンテンツが文化的になりやすい」とツッコみが飛んできそうです。
はたしてそうでしょうか。
文化・芸術とかけ離れたジャンルでも、上手にコンセプトを作り、文化性を帯びた商品はたくさんあります。
たとえば、無印良品。
良品計画は、「自然と。無名で。シンプルに。地球大。」をブランドコンセプトにすえ、店頭だけではなく、ブランドサイトやSNSを運用しています。
たとえば、Instagramのハッシュタグ「#無印良品」。
地道ながら、「シンプル」というコンセプトを浸透させたことで、消費者が自然発生的に生みだしたタイムラインでも、見事に世界観が統一されるようになっています。
食品、日用品や化粧品、車など、商材に関わらず、その商品に文化的な意味を帯びさせること。これが、これから企業と消費者が一体となるSNSに必要なたった1つのポイントだと思います。
文化性を帯びたコンセプトを生み出すには?
それでは、商品に文化を帯びさせる、発信に意味をもたせるためには、どうすればいいのでしょうか?
ハッキリ言ってしまえば、
「そんなのプロダクトを作った自分自身(会社)で考えろ」です。誰にも譲ることのできないプロダクトへの愛、その愛情があふれるほどのレベルになって、はじめてコンセプトが出来上がります。
とはいえ、この商品にはコンセプトがないんです、という方。
たった1つの問いで、コンセプトを見つけ出すことはできるかもしれません。
この商品が売れることで、何が実現されますか?
この商品が広まれば、世界はどう変わりますか?
この商品を通じて、あなたは何を伝えたいですか?
この問いの答えが、限りなく文化を帯びたコンセプトに近しいモノです。それはきっと、製品機能ではなく、情緒的な体験や文化そのものであるはずです。
最後に、「文化・芸術は経済よりも上にあるべきものだ」というコトバは、売る以外の目的で商品を広めたい理由は何か?を生産者に問うているのだと思います。
SNSマーケのポイントとは、商品を通じて成し遂げたいことを探ることであり、そのコンセプトをSNSという手段を通じて伝えていくだけなのだと思います。
SNSマーケティングは本当に奥が深いので、これからもいろいろ考察を書いていきます。
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