竹田恒泰の「教育勅語推し」が常軌を逸していた件(前編)
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もし時間がない場合は最初のチャプターだけでも十分です。
【この記事の概要】
▼竹田恒泰さん「教育勅語さえあれば幸せになれる」などと真顔で発言
▼教育勅語とは国民主権や基本的人権を否定するもの
▼日本の憲法と教育勅語は両立できない
2019年11月13日に「教育講演会」として富山県朝日町の中高生向けに講演会が予定されていた竹田恒泰さん(主催は教育委員会)
抗議が殺到した結果、11月7日には「中高生への聴講は中止」と判断されてしまいました(10日に脅迫があったことにより講演そのものが中止せざるを得なくなりましたが、現段階で7日時点の中止理由は正式に発表されていません)
抗議殺到の理由の一つは「教育勅語推進論者である」ということ。
この記事では竹田恒泰さんの教育勅語への執着がどれほどブッ飛んでいるのかを解説したいと思います。
1. 全知全能のような竹田さん
まずはこちらの動画をご覧ください。
これは竹田恒泰チャンネルというニコ動などにアップされている竹田さん公式チャンネルの動画。
言い訳できない竹田さんの生の発言ですね。
これを見ただけでその主張の薄さ、異常性はわかるかと思いますが念の為解説してみましょう。
(教育勅語を実践すれば)
日本も良くなるしっ!
会社も良くなるしっ!
家族も良くなるしっ!
(教育勅語を実践すれば)
最っ高に幸せな人生を歩むことができる
な、わけねーだろ。
あまりにもムカついたので教育勅語の文字数調べてみました。
日付や「御名御璽」を入れて330文字。
こんな330文字ぽっちに「会社が良くなる方法」など本当に書いているはずがありません。
何の経典ですか?って感じですね。
もう教育勅語だけでいいです!
これだけ実践すれば良い!
はい、完全にこれカルトやマルチ商法の感覚ですね。
ちなみに動画本編見ても、教育勅語が優れている理由を一切論理的に解説していません。
「縄文時代から先人たちが育んできた考えだからスゴイ!」という話に終始。
好き嫌いの問題だろそれ??
っていうレベルの話しかしていません。
先人の知恵が受け継がれているのだ!とドヤ顔してふんぞり返ってますが…
んな事言いだしたら古今東西の世界中の文化
ぜ~んぶそうじゃん!バカなん?
特別、教育勅語だけが真理を語っていると言うのは太平洋横断レベルの論理の飛躍です。
例えばマンガやアニメでもそうですよね。
手塚治虫がいたから鳥山明がいたんだ!って言われても…
別に鳥山明が最高の漫画家とは限りません。
荒木飛呂彦やさくらももこが好きな人だっているわけです。
TAKEHIKO INOUEだろ!岩明均だろ!って人もいますよね。
もちろん手塚治虫だって最高とは限りません。
歴史的にも教育勅語は井上毅や元田永孚らが起案したものであって、神の言葉でもなんでもありません。
時代に合った形で天皇=神であり絶対的存在であるという国家観を強力に国民に植え付けるための「ツール」として機能したにすぎません。
たった330文字の文章をことさら持ち上げて、
「生き方の極意」
「最高に幸せになれる」
「これ以上のものはない」
「会社も良くなる」
と、ぬかしてけつかるわけです。
貴方は全知全能の神なんですか??
これ世界中の思想家や哲学者、つまり先人に対する冒涜ですよね。
まず偉大なる先人、
ソクラテスに謝れと言いたい。
というか竹田さんってソクラテスの思想すら知らんのかも?
(教育勅語は)
完全に完成されているものなんですね
竹田さんの主張
▼教育勅語は完全に完成されている
▼なぜなら先人たちから受け継がれた考え方だから
ただの論理破綻系ネトウヨでした。
本当にどうもありがとうございました。
2. 教育勅語が日本国憲法と相容れない理由
続いて教育勅語は「ただの330文字」以上にヤバイ存在だということを解説します。
思うに、これらの詔勅の根本的理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八條の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである。
(1948年6月19日 衆議院 教育勅語等排除に関する決議)
こちらが太平洋戦争終結から3年経過した日本の国会での議決です。
ここに教育勅語の何がダメかほとんど書かれていますので、以下に要約してみました。
【テストに出る!教育勅語のここがダメ】
①主権在君
▼主権在民の概念と真っ向からぶつかってます
②神話的国体観
▼天皇が神であるかのような国家観です
③基本的人権を損なう
▼思想の自由、生存権、幸福追求権等が否定されています
④憲法第九八条
▼「憲法は国の最高法規」だから憲法に反するものは効力がありません
とまあ、こんな感じなんです。一番強力なのは④ですね。
日本国憲法と
相容れないから
教育勅語は
使えません
ってことです。
例えば「殺人を犯しても罰してはならないという法律」を作ったとしますよね?でも憲法で、
「人を殺したらアカンで」
と書いていたら、どっちを優先するんでしょうか?
それを決めているのが「日本国憲法第98条」です。
↓↓ ↓↓ ↓↓ ↓↓ ↓↓
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
(日本国憲法第98条)
憲法に反する法律などは無効になるわけです。憲法強いです。
教育勅語とは「明治天皇の言葉」という体なので法令ではないのですが、戦前の政府や文部省は強烈にこれを教育現場で強制してきたことによって「日本人とはこうあるべし」という思想を初等教育の段階の子どもに植え付けていました。
戦前の価値観の洗脳教育の大部分は教育勅語が担っていたと言えるでしょう。
基本的人権も存在しない大日本帝国憲法のもとで、天皇を神として崇めることが至上の価値とされていた国の教育方針ですから、簡単に言えば、
幸せなんて追求すんなよ
天皇陛下と国に奉仕しろ
こういう価値観に基づいています。しょーもな!
大日本帝国憲法の公布は1889年、教育勅語の発布1890年ということで、大日本帝国憲法の考えを土台にしていることは言うまでもないでしょう。
最高に幸せな人生が…とか、生き方の極意だ…とか、これ以上のものはない!などと豪語してますが、それって「天皇に奉仕することで幸せを感じる特殊なシュミの奴の主観でしかない」という話です。知らんがな。
一言で教育勅語がダメな理由を言うと
▼憲法を真っ向から否定している
▼人権や国民主権を否定している
今さら、どこのナチスドイツですか?
(竹田さんはナチス擁護発言をしていたとして、ユダヤ人権団体に通報されたこともあります)
3. 教育委員会がやってはいけないこと
では、教育勅語をめぐる時系列を少し整理してみましょう。
▼大日本帝国憲法
公布 1889年 2月11日
施行 1890年 11月29日
▼教育勅語
発布 1890年 10月30日
▼日本国憲法
公布 1946年 11月3日
施行 1947年 5月3日
▼衆議院での教育勅語等排除に関する決議
1948年 6月19日
こうして見ると一目瞭然。
教育勅語は明治時代の大日本帝国憲法を補完し、天皇を中心とした国の形の中で国民を都合よく動かすルールに過ぎません。
大日本帝国憲法とは全然考え方が違う日本国憲法と両立するわけがないんです。
ですが、人の思想や考え方はそれぞれ。
竹田さんが異次元レベルのトンデモ論者でもカルト信者でも許されるのが言論の自由・思想の自由。
私には正直どーーーーでも良い話。
しかし。
言うなれば「教育勅語の熱狂的信者」である竹田さんを行政・教育委員会が公金で招き、子ども達に話を聞かせようとしていました。
これ、異常ですよね。
日本国憲法を変えたい!と思う人が存在するのも良いでしょう。
民主的な手続きできちんと変えるのであれば、私は全く異論はありません。
でも、今は今で現行の日本国憲法がある。
行政が憲法を真っ向から否定するような国作りをしてしまったら…
「法治国家」じゃなく
「民主的じゃない国家」の
いっちょあがりだろ!
教育委員会という教育行政に携わる人達がそれを理解できていないことが異常事態なわけです。
今回はたまたま富山県の小さな町でしたが、私が思うに、全国津々浦々で同じようなことが行われていても何の不思議もありません。
今現在日本の政治を舵取りをしている人たちの正体を考えれば、なぜ教育委員会がこんな極右トンデモ思想である教育勅語を強力に推進する人物を講演会などに招聘するに至ったのか、自ずと答えは出るでしょう。
教育勅語を教育委員会が推進すると…
▼日本国憲法を否定することになる
▼法治国家ではなくなる
4. まとめ
このように、竹田恒泰さんが言っている発言を考えれば、なぜ抗議が殺到したのかということはわかりますよね。
もちろん、脅迫はいけません。
私の考えとしては竹田さんは批判されるべきではありますが、脅迫を許すつもりはないですし、最初からそのように述べています。
ですが、我々には抗議や批判をする権利が保障されていて、それを正しく行使したに過ぎないのに、逆恨みをして「犯罪を教唆した」とか「損害を出した」などと騒ぎ立てるのは、
アホくさいにもほどがある
という感じですね。
恐ろしいことですが、もしかして竹田さんはそもそも日本国憲法を理解できていないのかもしれません。
今回は竹田恒泰さんと教育勅語についてお伝えしました。
竹田さんには差別的言動や未成年女性への盗撮、デマなどなど他にも追及すべき点が多々あります。
これも放置しておくわけには行きませんので、今後きっちりと扱っていくことにしましょう。
次回は教育勅語の「本文」や歴史的な扱われ方を見ながら、少し深堀りしてみたいと思います。
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