【Cash】スーコネを中心に、スートハンドのopenレンジを考える(初~中級者向け)

おはようございます。Chocolatです。朝マックをスタバで食べながら書いています。肩身が狭いです。
ポーカーを少し勉強し始めると、スーコネ(76s,98sなど)がopenレンジや3betレンジに入ってくることを知ります。とはいえ、初〜中級者の方でGTO通りにその頻度を記憶している方は少ないはず。かくいう私も、「たまにはopen/3betしてみようかな!」とチャレンジしていますが、フロップ以降の立ち回りの難しいこと、難しいこと…。多くの場合マージナルハンドとなりやすいので、適切な頻度でブラフができないといけないと痛感します。
本記事は、「ブラフもできるようになってきたよ!」「もっとポーカーがうまくなりたい!」という初〜中級者の方向けです。
スーコネのopenレンジが、ポジション・スタック・レーキ・アンティによってどのように変わるのかを、理論的に考察していきます。単純暗記に励むのではなく、ゲームの枠組みの変化が「どのように」「どのくらい」影響を与えるのかを予想しながら一緒に勉強していきましょう!


結論

1.スタック
  スタックが小さくなるほどUTGでのスーコネopen頻度は下がる。特に100BB以下では、8以下のスーコネは参加しない簡易戦略もありうる。一方で、20BBであっても9以上のスーコネ・ワンギャッパーは参加する。
2.ポジション
  後ろの人数が少ないほど、スーコネopen頻度は上がる。100BBにおいて、COはT7s, 97sが毎回参加、86s、76s、65sは約50%で参加。BTNでは85s, 75s, 64s, 54sは100%open。SBは63s, 53sも参加(リンプあり)。
3.  レーキ
  capによるレンジへの影響は小さい。レーキ%による影響は大きいことが予想されるので、注意。
4.  アンティ
  0.1BB anteにおいて、多くのポジションでのopen頻度への影響は少ない。しかしながら、SBのレンジは大きく変化し、raise/fold頻度が下がり、call頻度が上がる。スートはほぼ全て参加。オフスートも、Q4o, J5o, T6oまで参加できるようになる。

1. スタックによる違い

まず、【Cash】200BB 6max NL500のUTGのopenレンジを見てみましょう。

AKs, KQs, QJsは強いのでopenするのは当たり前として、98sまでは毎回open。76s, 65s, 54sも頻度で参加しています。また、J9sやT8sなどのギャッパーも参加していますね。
さて、スタックが100BB、50BB、20BBとなると、これらはどのように変わるでしょうか。スタックが小さくなるほどAll inが近くなるので、ブラフハンドとしては適していそうですが、多くの場合マージナルハンドとなりますから、open頻度は下がりそうです。見ていきましょう。

100BB 6max NL500 (open2BB)
100BB 6max NL500 (open2.5BB)
50BB 6max NL500
20BB 6max NL500

T9s、J9s以上は常に参加するが、それ以下のスーコネは徐々に頻度が下がっていくということが分かりました。特に200BB→100BBの時点で、89s, 78sの頻度がガクッと下がっているので、 初心者のうちは100BB以下でこれらのハンドを参加しない簡易戦略をとっても良いでしょう。
100BBにおけるopenサイズによっても比較しましたが、スーコネでの大きな違いはありませんでした。一方で、5ポケ、6ポケの頻度がopenサイズ2.5BBでやや下がったのは一見の価値があります。これらもリバーまで進めばマージナルである可能性が高いハンド群であり、2.5BBも最初につぎ込むのがもったいないということでしょう。
また、20BBになっても、J9s, 89sは20~30%で参加します。【9以上は参加可能】と覚えておきましょう。8,9,T,Jはストレート絡みのボードになった時にブロッカーの役割も果たせそうですね。

2. ポジションによる違い

これが皆さん一番気になるところ。後ろの人数が少なくなるほど、スーコネの参加頻度は上がりそうですね。では、どの程度でしょうか。私は、BTNで54s, 75sを70%参加、SBで43sを50%参加、と予想しました。みなさんはどう思いますか?見ていきましょう。

100BB 6max (2BB open, UTG)
100BB 6max (HJ open)
100BB 6max (CO open)
100BB 6max (BTN open)
100BB 6max (SB open)

UTGとHJのレンジの差は小さく、98s, T8sの頻度が上がるくらいです。変化があるのはCO以降。T7s, 97sが毎回参加、86s、76s、65sは約50%で参加です。BTNでは85s, 75s, 64s, 54sは100%open。SBはリンプも入ってきますが、3以上のスリーギャッパーまで(63sなど)まで参加できます。ぜひご自分の目で確認してください。
私の予想よりもやや広めのレンジでした。これらのハンドをうまく扱う自信がないため、しばらくは固めのレンジでプレーしようと思いますが、もう少し広くても良いということは頭の片隅に入れておきます。

3. レーキの影響

カジノでは、ポットを獲得した際に胴元がその何%かを徴収するシステムがあり、これを「レーキ(Rake)」といいます。GTO wizardの設定では、NL500とは0.6BBキャップ、5%レーキを表します。つまり、「ポットの5%をもらうけど、0.6BB以上はもらわないよ」という意味です(キャップが意味をなすのは、ポットが12BB以上の時ですね)。今回は、5%レーキ固定で、NL500(0.6BB cap)、 NL50(6BB cap)、NL50GG(8BB cap)のときを比較します。
キャップが高いということは、レーキを取られるシチュエーションがより多いということになります。多く参加するのは不利そうですね…。特に8BB capでは、ポットが160BB以下のときは毎回きっちり5%搾取されます(!)。
さて、レンジは「どの程度」変化するでしょう?今回は、スーコネ・ギャッパーの参加頻度の高いBTNで比べてみようと思います。私は、6BB capの時点で、下限が65s, 76s(50%参加)まで落ちると読みました。みなさんはいかがですか?見ていきましょう。

100BB BTN(NL500= 5%Rake, 0.6BB cap)
100BB BTN (NL50= 5%Rake, 6BB cap)
100BB BTN (NL50GG= Rake, 8BB cap)

思いの外、レンジの変化は小さい結果となりました。0.6BB→6BB capになることで、J3s, T5sなど下限のスートハンドが除外されましたが、その程度。8BB capにおいては、むしろ下限ハンドの参加頻度が上がるという結果がでていますが、これはNL50GGがGG pokerでのプレイを想定しているからでしょう。GG pokerでは参加頻度に応じてキャッシュバックが受けられるので、キャッシュバックとレーキの影響が打ち消しあったと考えるのが妥当だと思います。
これ以外にも、スタックやポジションを変化させて、レーキの影響を比較しましたが、大きな差が出るシチュエーションは見られませんでした。おそらく、レーキと言いつつcapで比較しているのが主な要因です。これが、レーキ8%、10%と変化していけば、openレンジに大きく影響していきそうです。海外のカジノでプレーする際は十分気をつけましょう。

4. アンティの影響

アンティ(ante)とは、プレイヤー全員から少しずつチップを徴収し、あらかじめポットに加えておく取り決めです。BBがまとめて全部払う「BBante」の場合もありますが、何周もプレイするのであれば、大きな違いはありません。anteありゲームでは、最初の時点でのポットが大きくなるため、参加頻度が上がり、BBのdefense頻度も上がります。
今回は、100BB, 7max(0.1BB ante)の場合において、LJ, BTN, SBのレンジ変化を観察します。
トーナメントでは1BB anteが一般的であり、その場合はレンジが大きく変化しますが、今回は0.1BBです。私はレンジに大きな違いは出ないと予想しますがいかがでしょうか。

100BB Anteなし UTG(LJ) (2BB open)
100BB Anteあり LJ (2BB open)
100BB Anteなし BTN (2.5BB open)
100BB Anteあり BTN (2.5BB open)
100BB Anteなし SB
100BB Anteあり SB

予想通り、LJ・BTNではopenレンジに大きな差は現れませんでしたね。LJの場合、T8s, 98sを毎回openするようになり、BTNでは5以上のスートは毎回参加となりました。一方で大きな違いが出たのはSB。スートはほぼ全て参加、オフスートもQ4o, J5o, T6oから参加できるようになりました。foldとraise頻度が減る一方、call頻度が増えています。
これは、0.1BBの価値(獲得期待値)が、後ろの人数が少ないほど大きくなるからだと考えられます(0.1/x の関数を書けば自明)。SBにとってはポストフロップ以降に参加する価値がかなり高くなっています。しかしながら、ポットが大きくなっている分、BBは同額のraiseに対しcallの必要勝率を満たしてしまうため、defense頻度が上がっています。したがって、SBはraise頻度を下げcall頻度を上げるという戦略になります。
ポット1.5BBに対する0.1BBanteの有無で、ここまでハンドレンジが変化するというのは、大きな学びと言えそうです。

まとめ(再掲)

1.スタック
  スタックが小さくなるほどUTGでのスーコネopen頻度は下がる。特に100BB以下では、8以下のスーコネは参加しない簡易戦略もありうる。一方で、20BBであっても9以上のスーコネ・ワンギャッパーは参加する。
2.ポジション
  後ろの人数が少ないほど、スーコネopen頻度は上がる。100BBにおいて、COはT7s, 97sが毎回参加、86s、76s、65sは約50%で参加。BTNでは85s, 75s, 64s, 54sは100%open。SBは63s, 53sも参加(リンプあり)。
3.  レーキ
  capによるレンジへの影響は小さい。レーキ%による影響は大きいことが予想されるので、注意。
4.  アンティ
  0.1BB anteにおいて、多くのポジションでのopen頻度への影響は少ない。しかしながら、SBのレンジは大きく変化し、raise/fold頻度が下がり、call頻度が上がる。スートはほぼ全て参加。オフスートも、Q4o, J5o, T6oまで参加できるようになる。

おわりに

世の中には、レンジの境界線を覚えることの価値はないと主張する人達がいます。私はそれもある程度正しいと思っています。が、初〜中級者のうちは、まずは暗記、次に予想、そしてGTOとのズレを認識することが大切なのではないか、と思います。
様々な変数がポーカーの力学にどう影響していくのか…。感覚とセンスを磨いていきたいですね。
さて、スタバのコーヒーもすっかり冷めてしまいました。今日はこの辺で。
またお会いしましょう!

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