【フランスおいしい旅ガイド】ペイ・ド・ラ・ロワールの都市別食べ歩き方
美食の国フランス。フランスの各地方には、その風土を活かした料理や伝統的なお菓子があります。フランスを20の地方に分けてそれぞれの特徴をご紹介します。今回はロワール地方です。
ペイ・ド・ラ・ロワール Pays de la Loire
全長1012kmのロワール川の下流に広がる平野地帯。オルレアンとナントを結ぶ交通の中継地として栄え、その間、彼らの言葉がフランス1美しい言葉に磨き上げられた。またロワール川による海洋性気候のため、1年を通じて雨量が安定しており気温も温暖なため、古くからパリへの早生物の出荷が盛んである。大西洋に面した海岸地帯には美しいビーチリゾートがたくさんある。北東部にあるル・マンは「24時間耐久レース」が開催される都市として有名。アンジェは15世紀後半までは独立した封建領主が統治するアンジュー公国の首都として栄えてきた。ナントはブルターニュ公領の中心であり、ルネサンス期には優美な宮廷文化が花開いた。16世紀にはアンリ4世が「ナントの勅令」を発布し、内乱宗教戦争の終結を宣言したことで、歴史的に知られる町となった。
■データ
県名:マイエンヌMayenne、サルトSarthe、ロワール・アトランティックLoire-Atlantique、メーヌ・エ・ロワールMaine-et-Loire、ヴァンデVendée
旧地方名:メーヌMaine、アンジューAnjou、ポワトゥーPoitou
主要都市:ナントNantes、アンジェAngers
■特産品
シャラン産の仔鴨、ベル・アンジュヴィーヌ種の洋梨
■アルコール
○コアントローCointreau:甘いスペイン産と苦いハイチ産のオレンジの皮から作られるリキュール。アンジェで菓子屋を経営していたアドルフ・コアントローが考案
○ギニョレGuignolet:アンジェのサクランボのリキュール
○アケットAcquette:イタリア発祥の昔のリキュール。香草で風味をつける。アンジェに今もある。
■おすすめのお土産
アンジェの青い瓦、アンジェのブッション、コアントローのキャンディ
■都市別ガイド
ガイドブックなどでは行政区分上のサントルとこのペイ・ド・ラ・ロワールをまとめてロワール地方としていることが多い。パリからサントル地方(トゥール、ロワールのお城めぐり)を楽しみながら、ペイ・ド・ラ・ロワール(アンジェ、ナント)まで足を伸ばすのもおすすめ。ぜひ古城ホテルに宿泊したい。
●アンジェAngers
アンジェはル・ロワール、サルト、マイエンヌという3つの川が合流して大河ロワールに注ぎ込むあたりにある。ロワールの西の玄関口にあたる古い都市。15世紀後半までは、独立した封建領主が統治するアンジュー公国の首都として栄えてきた。現存する城塞は13世紀に築かれたもの。百年戦争の時代には、いくたびかの領有権闘争が繰り返されたが、独自性を主張し続けて、この地域独特の文化・芸術を生み出してきた。そのせいか町中には美術館が多い。さらに15世紀には大学が創設され、学芸盛んな国際都市として花開いた。お菓子的には、クレメ・ダンジュCremet d'Anjouの町である。
■アクセス
パリ・モンパルナス駅からTGVで約1時間30分。
■モデルコース
(9:00パリ・モンパルナス駅発TGV→アンジェ着10:29)お菓子屋さんめぐり→ランチ→アンジェ城→ソミュールへ(17:10アンジェ発、17:30ソミュール着)(所要1日)
■観光スポット
□アンジェ城(Chateau d'Angers)
城内の特別展示室には、14世紀に制作された有名なタピスリー「ヨハネの黙示録」がある。高さ5m、長さ107mにもおよぶ巨大な作品で、神秘的な76の場面からなり、芸術的価値の高い作品。
■お菓子屋さん
□Le Trianon:ル・トリアノン
7, rue Lenepveu, 49100 Angers Tel: 02.41.87.44.39
アンジェのルレ・デセールの店。オーナーシェフのMichel Galloyer氏はフランスお菓子業界の有名人で、アンジェのドンといった風格。パリにもパン屋さんを出している。また、日本人のスタージュ(見習い)を多く受け入れることでも知られている。(2001/9/4&2002/8/29)
□Le Grenier à Pain:ル・グルニエ・ア・パン
12 Rue de la Gare, 49100 Angers Tel: 02.41.87.53.41
ル・トリアノンが出しているパン屋さん。季節限定のプルーンのタルトやチェリーの入ったフィナンシェもある。(2001/9/4)
□La Petite Marquise:ラ・プティット・マルキーズ
22, rue des Lices, 49100 Angers Tel: 02.41.87.43.01
チョコレート屋さん。1966年誕生の「アンジェの青いかわらQuernons d'Ardoise」というチョコレートが名物。(2001/9/4)
■レストラン
□La Salamandre:ラ・サラマンドル
1, boulevard du Maréchal Foch, 49100 Angers Tel: 02.41.88.99.55
ホテル・アンジュHôtel d'Anjou内にあるレストラン。料理は洗練されている。デザートにクレメ・ダンジュがある。(2002/8/29)
□Le Petit Comptoir:ル・プティ・コントワール
40, rue David d'Angers, 49100 Angers Tel: 02.41.88.81.57
夫婦でやっているビストロ。クレメ・ダンジュあり。(2002/8/29)
□Provence Café:プロヴァンス・カフェ
9, place du Ralliement, 49100 Angers Tel: 02.41.87.44.15
ホテルの2階にある、プロヴァンス料理のレストラン。アンジェに住むパティシエいわく、アンジェで1番おいしい。(2001/9/4)
●ソミュールSaumur
フランスの軍隊と馬術の中心地。国立馬術学校では馬舎や練習風景を見学できる。6、7月に騎馬ショーやパレードがある。
■アクセス
アンジェまでパリ・モンパルナス駅からTGVで約1時間30分。アンジェから電車で約20分。
■観光スポット
□ソミュール城(Chateau de Saumur)
ロワール川を見下ろす丘の上に建つ。13世紀に城塞として造られたが、14世紀にはアンジュー公によって改築され、美しい城へと生まれ変わった。現在は装飾美術館と馬の博物館になっている。
■グルメスポット
□Musée du Champignon:シャンピニオン博物館
St.Hilaire-St.Florent, 49400 Saumur Tel: 02.41.50.31.55
石切り場のカーブを利用したキノコの博物館。中は14℃。寒い。中は1.5kmの洞窟。土壌はやや粘土質。石を切り出していたら、遺跡も出てきたらしい。しばらくアンモナイトの化石とかがころがっている所を通って奥へ行くと、マッシュルームの栽培コーナーに。
マッシュルームは昔パリのカタコンブで作られていた。だからフランス語でシャンピニオン・ド・パリ(パリのキノコ)という。マッシュルームの栽培は、まず笠を3日間逆さにして胞子をとる。それにグリコーゲンとプロテインを合わせた培地で培養すると、1週間位で菌糸が出てくる。それを藁に馬糞を混ぜて発酵させたものに植えると、5週間位でできる。その他にピエ・ブルーという青いキノコや、赤いキノコ、シイタケも栽培している。シイタケはエキスを抽出してコレステロールを下げる薬や、美容液に使うのだそうだ。反対側は世界のキノコと毒キノコを展示している。(2002/8/27)
■レストラン
□Les caves de Marson:レ・カーブ・ド・マルソン
49400 Rou Marson Tel: 02.41.50.50.05
ソミュール近くのフワスが食べられる洞窟レストラン。フワスは粉、イースト、水を混ぜたもので、かまどの温度を調べるためにパンの切れ端を入れていたのがはじまり。この店ではフエfoueeと呼んでいる。フワスはロワール地方に伝わるおふくろの味的な郷土料理。焼き立てに、リエットと呼ばれる豚肉や鴨を長時間煮込んでペースト状にしたものを挟んで食べる。フエを焼いていたのはハワイ出身の男性。入口近くのかまどで次々と焼いていく。直径15cm位の薄い円形の生地をかまどに入れると、すぐにぷくっとふくらむ。それで焼き上がり。丸のままや、半円にして焼いている。その出来立てをどんどんテーブルに運んでくれるのだけど、なんといってもパン。そんなにたくさんは食べられない。リエットはさすがにおいしかったけど。(2002/8/27)
●ナントNante
ナントはロワール川が大西洋に注ぐ地点に位置する。人口約25万人、ロワール、ブルターニュ両地方で最大の都市。5世紀以降、イギリスから渡ってきたケルト族とフランク族がこの地をめぐって争っていたが、10世紀にブルターニュ公国の首都となった。18世紀初頭にはアフリカから買い付けた砂糖貿易の中継地として、また並行して行っていた奴隷貿易でも莫大な利益を上げた。行政区分上はロワールに属するが、ブルターニュの影響を強く受けている。なので、ガレットがあったり、ブルターニュ物産店がいくつかあったりする。
■アクセス
パリ・モンパルナス駅からTGVで約2時間。
■モデルコース
(9:00パリ発→11:12ナント着)サン・ピエール大聖堂→マルシェ→お菓子屋さん→ランチ→パッサージュ・ポムレ→ブルターニュ大公城(16:16ナント発のTGVでブルターニュへ)(所要1日)
■観光スポット
□ブルターニュ大公城(Chateau de Ducs de Bretagne)
大公フランソワ2世によって15世紀に創建された。深い濠に囲まれ、6つの塔によって防御されている。1598年、アンリ4世はここで信教の自由を認めた“ナントの勅令”を公布した。
□サン・ピエール大聖堂(Cathedrale St.Pierre)
1434年に着工され、完成まで約450年もの歳月がかかっている。美しい初期ルネサンス様式の装飾が見もの。1972年の大火で被害を受けて、塔やステンドグラスは造り直した。
□パッサージュ・ポムレ(Passage Pommeraye)
19世紀のアーケード。ガラス張りの天井は明るく、円柱や彫刻の古典的な装飾が美しい。
■お菓子屋さん
□Boulangerie Simon:ブーランジュリー・シモン
19, rue de veruni Tel: 02.40.47.18.38
おしゃれなお菓子屋さん。(2003/10/26)
■グルメスポット
□室内マルシェ
日曜日の午前中訪れたらとにかくすごい人だった。ナント中の人が買い物に来てるんじゃないかと思うくらい。場外には衣類、それと農家の屋台が軒を連ねる。屋内には魚、野菜、果物、パンなどの店。ガトー・ナンテ、クレメ・ナンテ、焼き立てガレットあり。(2003/10/26)
■レストラン
□Taverne Maitre Kanter:タベルヌ・メートル・カンテール
place Royale, 44000 Nantes Tel: 02.40.48.55.28
地方料理が食べられるビストロチェーン店。(2003/10/26)
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