そうか、つまりきみは、そんなやつなんだな

『少年の日の思い出』って、初めて読んだ当時も心臓がきゅっとなったけど、やっぱりいまだにあらすじを読んだだけでも苦い思いになりますね…
わたしは「僕」側なので、エーミールみたいな人間がすぐそばにいたら100%妬んでいたし、憎んでいただろうし、「僕」のようにエーミールの蝶を盗んでしまっていたかもしれない。だってずっとほしかった蝶が、何でも持っていて完璧なエーミールの手の中にあるなんて許せないし…
だけど「僕」は、蝶のことを大切にできていなかったんだよね。それをエーミールに見抜かれてしまった。
盗んだことを後悔して、きちんと謝罪したことは褒めても良いぐらいだと思うけど、人の物を奪った上に破壊してしまったとなっては…

もし「僕」が展翅も完璧にこなしていて、盗んだ蝶のこともポケットに入れるなんてことせず大切に取り扱っていたなら、エーミールは「彼は本当にクジャクヤママユに憧れていたから思わず盗んでしまったんだろう」って思ってくれていたかもしれないし、何なら許してくれた可能性だってあったかもしれないけど、
壊してしまったことによって「本当はろくに大切でもないくせに嘘をついて盗んだ挙句、謝って許してもらおうとしている。彼は自分に嫉妬している」なんていうふうに思われてしまったのかなって。

なんというか…エーミールには決して「僕」の心情は理解できないだろうし、その逆も然りなんだろうな。
いつかエーミールが「僕」を見直してくれる日はくるのだろうか。というか「僕」が成長することはあるんだろうか。いつまでも変わらない、成長しないなんてことは存分にあり得るからね。
このお話の続きが読みたいけど、この世には存在しないから各々が考えるしかないんですよね…


ぜんっぜん関係ない話だけど、最近読んだ『憂国のモリアーティ』『チ。』『ダンダダン』『チェンソーマン』『タコピーの原罪』『あらくれお嬢様はもんもんとしている』がめっちゃくちゃ面白かったです。
相変わらず『怪獣8号』『東京リベンジャーズ』も追っかけてます。最高です。

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