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メルカリとPコート。

昔買ったPコートをメルカリに出品した。
サンフランシスコで買ったものだ。

アメリカの高校に通っていた時に、
Persuasive Essayというものを書かされた。

「説得力のあるエッセー」
人を説得するエッセーを書く課題だった。

なんだかよく分からなかったけれど、
ちょうどPコートを買ったことを思い出した。

サンフランシスコで買ったものだ。

11月の第4金曜日、ブラック・フライデー。
アメリカン・イーグルのPコートが、安くなっていた。

それでも、
高校生からすれば決して安くはない、50ドルだった。

それでも、
僕は買った。

今思えば、ただの衝動買いだった。

課題では、
衝動買いの正当性を説得するエッセーを書いた。


こないだ、
パソコンを整理していたらそのデータが出てきた。

拙い英語で書かれているそのエッセーは、
なんだかよく分からなかったけれど、

ノスタルジィに満ち溢れていた。

そういえば、あのPコートはどこにやったのだろうか。
探してみたらすぐに見つかった。

ノスタルジィに満ち溢れていた。


昔買ったPコートをメルカリに出品した。

無情なことなのかも分からない。

ノスタルジィもろとも、メルカリに出品した。

メルカリの商品には全部一つひとつ、

ノスタルジィが満ち溢れているのだろうな。

ノスタルジィの値段はいくらなのだろう。

僕のPコートも、僕のノスタルジィも、

もう少し安くしないと売れないのかもしれない。

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