本家と言うものは、超えられないものである。
今年の夏、82歳で亡くなった母
生まれは満州の奉天ですが、
終戦後帰ってきたのは、
福岡県 大牟田市
私が物心ついた頃には、
既に誰も住んでおらず、
一度か、二度位しか
行ったことない。
大牟田には「草木饅頭」という銘菓がある。
いつ、どこで
初めて食べたか思い出せない。
食べたのも、きっと一度だけだと思う。
それでも、
いつの間にか憧れみたいになっていて、
高校生くらいの時に大牟田に行った時は
まっしぐらに駅前の"黒田屋さん"へ
向かって、たくさん買った。
すっかり大人になってからも、
忘れることはできない。
当時ネット販売とかもなく注文は電話。
お取り寄せなんかも
今ほど一般的ではなかったし、
7日ほどしか日持ちしない。
母の親(おばあちゃん)や、妹(叔母)は、
愛知に住んでいたから、
饅頭が届いたら、すぐに私が配達出来るよう先に、みんなの都合をつけ、
まとめて注文していた。
日持ちしないから、とにかくスピード命。
皮は黒糖風味で、中身が白あん。
一口サイズの小さなお饅頭。
当時は、一個当たり30〜40円位で
値段もお手頃価格だった。
これを、
自分で作れないか、って思考になるのは、
やっぱり海外にいたころ。
黒糖は、
出来るだけ色の濃いブラウンシュガーで
白あんは、白いインゲン豆を使い、自作。
同じく海外在住だった方のレシピは、
本当にありがたくて、
どんなものも、だいたい作れると
教えてくれた。
住んでいた国では、
この饅頭で、
日本人の友達の旦那衆を制圧した(笑)
なぜか、女性より男性ウケがよく、
会ったことも話したこともない
男性の胃袋を知らない間に
つかんでしまった。
これが、福岡県大牟田市の銘菓だとか、
そんなウンチクは誰も知らない。
あの男性陣が
いつかどこかで草木饅頭を食べることが
あれば、きっと懐かしい気持ちになるだろう
昨日、10年ぶり位に作ったのだけど、
勘が鈍っておりまして、
この後、2回目のは、
シワシワになる。
ファイリングしてあるレシピは、
改善に改善を重ねた歴史があった。
ところどころ、手書きで注意書きや、
大量生産する時の分量…
あの時の自分は、
確かに、頑張っていたんだなぁ。
4年ほど前に黒田屋さんのネット販売で
お取り寄せしたのだけど、
やっぱり美味しかった。
今も変わらない短い消費期限は、
信頼の証。
やたらと色んな場所で買えないのも、
私の好きなポイントだな。
そして、わたしが作るもどきも美味しい。
美味しいけれど、
本家を超えることはないと確信した。
本家とは、
超えられないものである。
絶対に。
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