私と渋谷
なれない街
なじまない街
よそよそしい街
私にとって、それは渋谷。
学生時代から何回も訪れているのに、
私と渋谷は、一向に距離が縮まらない。
いつも心細い気持ちになってしまう。
半年振りの渋谷。
相変わらず、心がざわざわする。
不安な気持ちを抱えて、夕方の渋谷を歩く。
急に小学生時代の光景が、目の前に広がる。
夕方、母と弟と買い物の帰り道、いつも帰りが遅い父と偶然会った、あの時だ。
突然の父の出現に、ビックリした。
夕方に会う父は、他人のようにも思えた。
父は偶然の再開を喜び、駅前のちょっと高そうな喫茶店で、パフェをご馳走してくれた。
何でこんなこと思い出したのだろう。
心細い気持ちが呼び起こしたのかな。
あの時私は、いつもと違うことにドキドキしていた。
喫茶店も入ったことがなく、嬉しいよりも緊張していた。
でも父に会って、少しホッとしたこと。
非日常の出来事に、少しワクワクしたこと。
ノスタルジックな思いは、あたたかく、少し寂しい。
だがその余韻は思いのほか、心地よく、
渋谷駅へと私はいそいだ。