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夫婦愛に感涙 シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』

2025年初映画はシネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』にしました。平成22年2月の舞台を映像化したもので、シネマ歌舞伎の新作となります。
私にしては珍しく早々にチケットを取っていたのは、大好きな“にざたま”のお二人が主演で、以前からとても観たかったからです。
(舞台は早めに取りますが、映画はね)。

森鴎外の短編小説が基だそうで、作品の抒情性の高さはそこからきているのかなと思いました。
あらすじや作品詳細は公式サイトをご覧ください。予告動画もあります。

私の感想は、まず 「にざさま、可愛すぎる!」 です。
玉三郎さま演じる妻るんのことが大好きすぎて、甘える、はしゃぐ、よく笑う――そんなにざさまの伊織がとても魅力的でした。
37年も離れ離れに暮らした二人の悲恋物語ですが、伊織の純粋で率直な振る舞いのせいか、悲壮感よりもほほえましさが勝ります。

にざさまの仕草や表情がとてもキュートで、これでは出来のいい奥方るんが惚れて待つのも納得だと思わせてくれました。これこそアップで観られる映像の特権ですね。お二人の阿吽の呼吸が伝わってきて、若いころの心の通い合いが丁寧に描かれているからこそ、37年後の再会に深みを感じます。

観客として笑いながらも涙が止まらない瞬間が何度もありました。舞台のお二人が泣き笑いしている姿を見て、私たちも一緒にその感情を共有していたのです。

妻るんが伊織の前では子どものように正直になる姿も印象的で、信じ合い許し合う夫婦愛の美しさを感じました。

また、十八世中村勘三郎さん演じる下嶋の存在感は圧巻で、憎らしいけれども心情が理解できるような絶妙な演技でした。今は映像でしか観られないことが悔やまれるほどです。

75分間に詰め込まれた濃密な時間と愛、信頼の物語――またぜひ観たいと思っています。





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ちょっちょ
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