#087 『いやいやえん』(お気に入りを500数える)
「ぐりとぐら」「そらいろのたね」の絵を描かれた山脇百合子さんが亡くなられたそうです。
大好きな絵本たちを生み出してくださったことを感謝するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。
インターネット上では多くの追悼の言葉が述べられていました。
代表作の「ぐりとぐら」はもちろんですが、私は「いやいやえん」が大好きでした。
赤い枠の表紙を見ると、今でも子どものころの気持ちに戻ります。いたずらっこのしげるくんはこの挿絵があったからこそ、生き生きとしていたのだと思います。ほわわんとしたやさしい絵で、どんないたずらをしても、にくめないんです。
訃報を聞いて、ニュースを読み、この「いやいやえん」が山脇百合子さんのデビュー作※で、作者である中川李枝子さんとは姉妹だと知りました。※旧姓の大村百合子さん名義
言葉と絵がピッタリ合っていた理由は姉妹だからというのもあったのでしょうね。
そういえば「ねずみくんのチョッキ」シリーズの作者なかえよしをさんと上野紀子さんもご夫婦ですし、中川李枝子さんの「ももいろのきりん」の絵はご主人の中川宗弥さんです。
素敵ですね。
話を「いやいやえん」に戻します。
大好きと言いながら、内容を覚えているのは表題の「いやいやえん」だけでしたので、読み直してみました。
今読んでも面白く、言葉の一つひとつが選ばれているんだなと思いました。
どこにでもある保育園の風景から、自然にファンタジーの世界へ流れていけるのは、挿絵の影響も大きいでしょう。
しげるくんのお話は全部で7つ。
ちゅーりっぷほいくえん
くじらとり
ちこちゃん
やまのこぐちゃん
おおかみ
山のぼり
いやいやえん
表紙にいるのは、やまのこぐちゃんです。
私が好きだったのは「おおかみ」だと思い出しました。
おおかみが子どもを食べようとする、ある意味残酷な状況をサラリと描いていて、クスクスと笑ってしまうんです。挿絵のしげるくんがなんともとぼけていて、本当にいい味だしています。
「山のぼり」は、こんなお話だったかなぁと読み進めて、鬼の挿絵のところで、「あっ! 知ってる!!」となりました。
くじらも こぐまも おおかみも 鬼も
しげるくんやちゅーりっぷほいくえんのみんなと同じ世界に住んでいるんですね。
たくさんの先生やご家族が、子どもたちに読み聞かせてきたであろう「いやいやえん」。
70ぐらい約束のあるちゅーりっぷほいくえんで、一日に17回も約束を忘れてしまい、先生に叱られるしげるくんを、
子どもたちはどう受け止めながら聞いていたのでしょう。
叱られているけれど何だか楽しそう、と思っていました。
そして、今でもそう思っています、私は。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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