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だれも知らない小さな国のお話
ふきの葉が出る頃になるといつも思い出す本があります。
佐藤さとるさんのコロボックル物語シリーズ。
小さい頃、よく読み聞かせてもらったものでした。
『コロボックル——アイヌ語(ふきの葉の下の人の意味)①アイヌの伝説にでてくる小人のこと。②またはその伝説をもとにして、アイヌが住みつく前から、北海道に住んでいたと考えられる小人種(しょうじんしゅ)の名』
主人公の住んでいるところには美しい泉の湧き出る小山があった。
ある日、主人公はその小山の小川に流れる赤い靴の中で、小人らしきものがこちらに向かって手を振っているのを見てしまう。
この物語にでてくる小人たちは 先人たちの間で『こぼしさま』と呼ばれていて、長い歳月とともに、「昔話の魔物」だとか信じられるようになった。
主人公は「こぼしさま」に身に覚えがあった。
たびたび身の回りで起きていた小さくも不可思議な体験と、あの赤い靴の中にいた小人。
「あの日ぼくが見たのはきっとこぼしさまにちがいない!こぼしさまはもともとふきのとうが好きだから、ふきのとうのある あの小山が気に入っていたのではないだろうか。」と考え、胸をおどらせる。
だれも知らない。
ぼくだけが知っている。
こぼしさまにもう一度会いたい。
そしてたくさんの学者たちが書いたコロボックル伝説の研究の本などを読み漁り、これが本当かどうか確かめようとこぼしさま宛に手紙を書いて、小山に置きに行こうと決意する。
***
元々は読み聞かせがあまり好きな子どもではなかったので、最初は題名を読む声を聞きながら
(早く寝たいなぁ、早く終わらないかなぁ)
と思っていたのを覚えています。笑
そんな私が、
気がつけばこぼしさまの話に夢中になっていて、話が進めば進むほど前のめりに話を聞くようになり
毎晩の本の読み聞かせが楽しみになったほどでした。
今でも1番大好きな本です。
今思えばまるでジブリのような世界観ですね。
特にアリエッティには心が踊ったものです。
もう原作者の佐藤さとるさんは亡くなってしまいましたが、私の中にはずっとこのコロボックルのいる世界が確かに存在していて
その影響でドールハウスやミニチュアが今でも大好きで
いつかコロボックルに会えるんじゃないかなんて想像(妄想?)するのが趣味だったり。笑
ひょっとしたら
夏は冷蔵庫で涼んでいるかもしれないし、
冬はコンピュータの熱で暖を取ってたりするかも。
そんな想像ができてしまうくらい、
この物語はファンタジーと現実が絶妙にブレンドされていて、読むものの想像をかき立ててくれます。
ふきの葉を見るたびに、
「この下にもし小人がいたら。」
なんて、考えるだけで今でもワクワクしてしまうのです。
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