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ちょび
2017年12月20日 14:52
「今年もお世話になりました、コーちゃん」 だらりと頭を下げて葵が言う。「こちらこそお世話になりました、葵」 僕もそれに倣う。ふわふわしたものが増えた部屋で、二人して立って頭を下げあう光景というものは、端から見たら滑稽な気がしてすぐに頭を上げた。 葵は鼻声だ。僕の健康管理にうるさいわりに年に五回は風邪を引く葵は、今年も例に漏れず鼻をすすりながらの年末を迎えている。「来年はどんな年に
2017年4月1日 03:30
一月のコーヒーショップは暖かったけれど、いつまでもいるわけにもいかない。 多少寒くても、家に帰ればぐうたらな君を見れるし、ぐうたらな僕でいられる。そう思うと、すぐにでも帰ろうかと思う毎日だった。 歩いて数分もしない家に、帰ろうかと提案したら帰ろうかと返事が来た。 外気は冷えて、澄んでいた。不純なもののない空気。「雪のにおいがする」 コーヒーショップを出たところでそう言った僕に「ほんとだ