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cherabby
ジヴェルニーの食卓 原田マハ #読書感想文
読んでいると無性に美術館に行きたくなる本。マティス、ピカソ、ドガ、モネ、セザンヌ、、、何となく名前はわかるけど、作品はわかったりわからなかったり、みたいな絵画の世界がいきいきと身近に感じられるそんな短編たち。
若い頃にマティスの家政婦だったおばあさん。ドガと交流のあった女流画家。当時売れない画家だったゴッホやセザンヌをおじいちゃんみたいに応援し続けた画材屋、タンギー爺さんの娘さん。そんな近すぎず遠すぎず絶妙な距離感の人たちの目線から語られる画家たちの物語は、いい意味でとても現実味があって身近に感じられる。今まで美術館で違いはよくわからないけど印象派の画家の誰かかなぁぐらいの感じで見てきた画家たちが、それぞれ個性と人間味のある全然違った人として浮かび上がってくる。ちょうど、あんまりしゃべったことなくていまいち名前と顔が一致しなかった人たちが、直接おしゃべりしてみたらそれぞれ全く違う個性を持った友だちに変わるみたいに。
ちなみに、タンギー爺さんはゴッホの肖像画に何度か登場する実在の人物だ。今度この絵に出会えたら、今までよりずっと親しみと物語性を感じるだろう。
この本を読んでからずっと美術館に行きたくて仕方がない。欲を言えばヨーロッパの知らない街でたまたま水曜日無料の美術館にふらっと立ち寄って、ピカソの全然知らなかった作品をじっくりゆっくり眺めるみたいな、そんな時間を過ごしたい。