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思い出読書①

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『静かなるドン』にはこんな思い出がある。

こういう個人的な経験と紐づいている本の話を聞くのが好きだ。

内容に対する感想文よりも、興味があったりする。

もし、同じような人がいたら、この記事は楽しめるかもしれない。

そんなわけで、ちょびは古本屋も好きだった。

『昔日の客』という本がある。

著者は、東京大森の古本屋『山王書房』の店主。

実際その店に訪れた、お客さんの話を書いている。

貧乏で、安い本ばかりを買っていく青年がいた。

値引き交渉をされ、店主は言う。

「うちも商売でやっているんだからねぇ」

そんなやり取りが続いたある日、

青年がウンと高価な本をカウンターに持ってきた。

不思議に思い尋ねると、青年はこう答えた。

「東京を離れることになりました。

記念にこの高価な本を買おうと思います」

店主は本を丁寧に包装し、代金の1/3は受け取らなかった。

「元気でおやんなさい」

と、青年の背中を見送った。

名前も知らぬ客との、心温まるやりとり。

数年後、その青年が再び店を訪れる。

店主はすぐに、彼の名前が分かってしまう。

「野呂邦暢さんですね?」

「ご無沙汰しております」

青年は、芥川賞を受賞した作家になっていた。

店主がサインを求めると、青年は自分の名前ではなくこう記した。

『昔日の客より』

くぁ~!!かっこいい。

いつかちょびも単行本を出すことができたら、あのブックオフに行って『昔日の静かなるドンの客より』ってサインしよう。

なんてことを考えながら読んだりした。

ちょびは毎日朝と夜30分ずつ、読書の習慣がある。

その中で最近は、佐渡島さんに『読んでみて』って言われた本を読んでるんだけど、これがすごくいい。

人から勧められると『何で勧めたんだろう?どこを気に入ってるんだろう?どう読んで欲しいんだろう?』とかいろいろ考える。

そうすると、すごく能動的な読書になる。記憶に定着しやすい。

思い出の引き出しが、スーっと開く。

IKEAで買って、作るのを失敗したチェストくらいすぐ開く。

そんなちょびの、今月の引き出しの中身。

思い出と共に紹介します。

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