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「獣の国」第1幕 第17場(診療所)

診療所

 診療所は4階建で、1階が診療室、2階が居間、3階が夫婦の寝室、4階が子供部屋と物置部屋になっている。
 獣の侵入当時、医師の男は1階診療室で患者を診察中であり、妻は2階で食事の支度したく、娘は4階の子供部屋にいた。
 侵入した獣は3匹、侵入路は診療所裏の2階につながる外階段からである。
 1・2匹目の獣は、屋内の階段を使って階下の診療室へ向かう。
 1匹目の獣は診察台に横になっていた患者を襲って腹を食い、頭部を引きちぎって2階外階段から逃走する。
 2匹目の獣は、治療を行っていた医師の男を襲う。
 3匹目の獣はそのまま2階の居間へ入り込み、食事の支度したくをしていた妻に襲い掛かり、外階段から外へ引き摺り出す。
 奇跡的に獣の攻撃を避け、逃げ出すその瞬間に医師の男は妻の悲鳴を聞く。
 医師の男に逃げられた2匹目の獣は、獲物を求め再び上の階へ行き、3階の寝室を物色する。
 医師の男は一旦は外へ脱出したが、妻と娘の救出のため、鉄パイプを手に診療所内へ戻ろうとする。
 娘は母親の悲鳴を聞き、4階の物置部屋に隠れる。

■ 短機関銃を右手にぶら下げ、診療所の扉を開けるイツァーク、その後ろを拳銃を手にしたライラが続く。



■ 待合室には何の気配もない。

■ 奥の部屋との間を仕切るカーテンを開けるイツァーク。



■ 診療室の中、診察台には死体が横たわっている。



■ 腹の辺りが激しく損傷している。

■ 死体には、あるべき場所に首がない。

■ 眉根を寄せるライラ。



■ 診療室の奥に、上の階へ続く階段がある。

■ ライラの方へ振り返り、イツァークは階段を指差す。

■ 音を立てず、階段を上がっていくイツァーク。





■ 2階の踊り場にイツァークが到着する。

■ 左側、外階段に続く扉は開け放たれ、床には引き摺ったような血の跡がある。

■ 右側、廊下を挟んで、開かれた引戸の先の居間の中には食卓と倒れた椅子が見える。



■ 何かを確認するかのように一瞬立ち止まるイツァーク。



■ 振り返り、ライラに向かってイツァークが頷く。

■ イツァークはゆっくりと居間へ足を踏み入れる。


■ 居間の床にも血の跡が付いている。

■ イツァークはライラに顔を向け、人差し指を上に向ける。





■ 3階へと続く階段を上がっていくイツァークとライラ。

■ 階段を上がると、廊下を挟んで目の前にある部屋の扉は閉まっている。

■ イツァークのゴーグルの奥の目が鋭くなる。



■ 扉を蹴り開けるイツァーク。





■ 部屋の中は暗い。

■ 短機関銃を構え、イツァークは部屋の中へ一歩踏み込む。



■ 突然、横から黒い影が襲い掛かる。



■ 瞬時に身体をらせ、紙一重で避けるイツァーク。

■ イツァークの後ろからライラの拳銃が火を吐く。

■ ライラの拳銃から放たれた弾丸が黒い影の背中をえぐる。



きしむような叫び声が上がる。
(声)ぎっっ



■ 後ろに倒れながら、イツァークが短機関銃の引鉄ひきがねを絞る。

■ 弾丸が壁を貫き、耳障りな叫び声が響く。
(声)ぎぃぃぃっ



■ ライラが叫び声の方へ拳銃を撃ち続ける。

■ ガラスが割れる音が響く。





■ 部屋へ突入する2人。

■ 突き破られたガラス窓からわずかに風が吹き込み、カーテンを揺らす。

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