「獣の国」第1幕 第18場(滑落)
滑落
■ 腰の後ろに右手を回して銃把に触れながら、レベッカは左手の無線機を頬に当てている。
■ 明滅する街灯によって作られた明暗の際から一歩踏み出される黒革の長靴。
■ レベッカ、気配に気付く。
■ 無線機を胸ポケットに仕舞うレベッカ。
■ ヒップホルスターから拳銃を抜き、レベッカは素早く振り返る。
■ 拳銃を構えるレベッカ。
■ 白い長衣が見えるが、その上半身はまだ影の中にある。
■ 薄闇の中に朧げに見える、頭巾と仮面に覆われた顔。
■ 拳銃を構えたまま、左手で身分証明書を提示し誰何するレベッカ。
(レベッカ)真紅護社です
(レベッカ)ここ一帯は立ち入りが制限されている区域です
(レベッカ)速やかに立ち去るよう勧告します
■ 白い長衣の人物からは何の反応もない。
■ レベッカは、厳しい口調で言葉を続ける。
(レベッカ)繰り返します
(レベッカ)速やかに立ち去ってください
(レベッカ)勧告に従わない場合 拘束することもあります
■ 白い長衣の人物は動かない。
■ レベッカは拳銃の引鉄に指を掛ける。
(レベッカ)身分を明かすものを提示してください
■ 突然、白い長衣の人物はレベッカに向かい駆け出す。
■ 発砲するレベッカ。
■ 僅かな動きで弾丸を避け、レベッカに迫る白い長衣の人物。
■ レベッカに向け、掌が恐ろしい勢いで突き出される。
■ 弾け飛ぶレベッカ。
■ レベッカの身体が小屋の壁を突き破る。
■ 小屋の奥の壁近くに仰向けに倒れるレベッカ、後ろの壁にはダストシュートの四角い穴が空いている。
■ レベッカがよろめきながら立ち上がる。
■ 目の前に白い長衣の人物が立っている。
■ 再び掌が突き出される。
■ ダストシュートに突き落とされるレベッカ。
(レベッカ)あっ!
■ ダストシュートを、レベッカは斜めに滑り落ちていく。
(レベッカ)あーーーーーっ!