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「獣の国」第1幕 第28場(捜索)

捜索

■ 闇の中に見える3つの小さな光。

■ その3つの光点が次第に大きくなってくる。

■ 後方からの2つの光に照らされ、がっちりとした男の姿がシルエットとして浮かび上がる。



■ フラッシュライトを装着した短機関銃を構え、滑るように走るドルジ。

■ その後ろを、ライトを手にしたアロとライラが音を立てずに走る。





■ ドルジのライトが照らすその先に、突然、異形の影が現れる。

■ ライトの光の中にあるのは、醜悪な獣の姿。



■ 獣の姿を見ても、ドルジは走る速度を緩めない。

■ 先頭を行くドルジに、アロが短く言葉を掛ける。
(アロ)任せろ

■ 狭い通路の中で、まるで魔法のように、するりとドルジと入れ替わって前に出るアロ。



■ 跳び掛からんとする獣の喉に、恐ろしい速さで繰り出されたアロの貫手ぬきてが突き刺さる。



■ 手を引き抜くアロ。

■ 獣の喉元から血飛沫ちしぶきが上がる。

■ 叫び声一つ上げることもできずにほふられた獣の死骸を跳び越え、再び走り出したドルジの後をアロとライラが続く。





■ 前方に右への曲がり角がある。

■ ドルジは手前で立ち止まり、耳を澄まして曲がり角の先の様子をうかがう。

■ ドルジがゆっくり歩き出す。



■ 前方へ長く伸びた通路の端が少しだけ明るくなっている。



■ 短機関銃に装着したフラッシュライトのスイッチを切るドルジ。

■ アロとライラの2人も手に持ったライトのスイッチを切る。



■ 通路の端まで到達した3人、ドルジは左手で後ろの2人に合図を送り、慎重に通路から足を踏み出す。



■ 短機関銃を油断なく構え、周囲の状況を確認するドルジ。





■ 少し広めの通路は左右に分岐しており、所々にぶら下がった裸電球の光でほのかに明るい。

■ ドルジは目を細め、左側に伸びる通路に視線を向ける。

■ 通路の先に、獣の死骸が転がっているのが見える。



■ アロとライラの方へ向き直るドルジ、いつもの不真面目な雰囲気は、今は微塵みじんもない。
(ドルジ)ここで二手ふたてに別れよう
(ドルジ)ここに来る途中で 銃声を聞いた気がするが
(ドルジ)今はんでるようだな

(ドルジ)レッドマン お前はどう見る?


■ ハンカチーフで右手に付いた獣の血をぬぐっているアロ。
(アロ)右だ
(アロ)右から瘴気しょうきが漂ってくる



■ ライラを見るドルジ。
(ドルジ)ライラ

■ 獣の死骸がある左方向を顎でしゃくるドルジ。
(ドルジ)あそこに獣の死骸が転がってる
(ドルジ)共食い上等の奴等だ
(ドルジ)死肉に群がっていない ということは……
(ドルジ)あっちに獣がいる可能性は恐らく低い



■ 右の太腿ふとももに装着したナイフを鞘から引き抜くライラ。
(ライラ)分かったわ
(ライラ)レベッカには無線で呼び掛け続ける
(ライラ)そっちもちゃんと電源を入れておいて

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