宿屋マガジン

日系ホテル、米ファンド(ホテル事業本部)で得た経験や知識を活かして、現在はコンサルティング会社で既存施設の運営や、新規開業、運営会社立ち上げ、旅館などの事業再生に取り組んでいます。それらの経験をエッセイにして、紹介していこうと思います。

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日系ホテル、米ファンド(ホテル事業本部)で得た経験や知識を活かして、現在はコンサルティング会社で既存施設の運営や、新規開業、運営会社立ち上げ、旅館などの事業再生に取り組んでいます。それらの経験をエッセイにして、紹介していこうと思います。

最近の記事

これからの時代、客室セールスって必要ですか?

2015年以降、特に大阪、都内近郊といった都心部にあるホテルの営業から相談が増えたのが、タイトルの質問です。 この質問が増えた理由の多くとしては次の3つです。 ①    オンラインをメインとした販売計画へのシフト ②    レベニューマネジメント担当者との衝突(衝突は言い過ぎかもですが) ③    個人予算の未達成による自信の喪失 営業担当者たちは、これならばもう客室販売にセールス担当者は不要なのではないだろうか、と疑問に思ってしまったのです。 「オンラインで売れるから、営

    • レートパリティを保つためには。

      レートパリティとは宿泊業界のレベニューマネジメントの概念の一つで、『価格の公平性』を意味します。各販売チャネルにおいて同じ宿泊プランの価格を同額になるよう揃える必要がある、ということです。 例えば、オンライン系旅行社へ価格設定をする場合、基本的に宿泊施設側ではレートパリティを保つため、同じプランの場合は価格が同料金で設定されているはずです。 パリティチェックといって、ライバル社の料金チェックを行い、オンライン系旅行社が『あっちのほうが安い』などと、クレームが入った場合、宿

      • その質問、何故でしょう。

        『オンライン系旅行社のサイトを見て、予約したいと電話してきた方には、オンラインで取ってください、と回答していいですよね?』 オペレーションのコンサルをしていると、この質問を受けることがよくあります。 確かに、オンライン予約を始めた当初、人件費をカットできるから、電話よりお得な料金を出せる……ということはありました。 しかし、現在の予約経路は、ほぼオンラインです。 旅行社から「うちのサイトを見て連絡したのだから、うちで予約するように案内してください!」と言われるのは分かります

        • デジタルでいくべきかアナログでいくべきか、それが問題だ。

          ホテルの業務は意外? とアナログ作業が多くあります。 例えば、インバウンドの団体旅行は、旅行会社とファックスで手書きのコメントを記入して、やり取りをしています(履歴が残るし、日によって手配担当が違う場合、メールだと共有が難しいなど、理由はいろいろあるようですが……)。また、小規模な旅館などでは、オンライン旅行社の予約をファックスで受信しているなんてところも……。 とは言え、宿泊施設を運営するには、大抵いくつかのシステムが導入されています。まず一つ目は、プロパティマネジメント

          室数に限りはありますが”限界突破”も可能です。

          当たり前ですが、宿泊施設は1日に販売できる数が限られています。でも、365日販売する中、毎日簡単に満室にできるわけではありません。そこで1室でも多く販売できるよう、工夫が必要になってきます。 大半の宿泊施設では、自社ホームページやオンライン系予約の在庫を一括管理するシステム『サイトコントローラー』を導入しています。これを導入することで、一つ一つのオンライン系旅行社のシステムで在庫や料金の設定をする必要がなくなります。 例えば、じゃらんと楽天トラベルに販売をしているホテルが

          室数に限りはありますが”限界突破”も可能です。

          日本の宿泊施設の格付けって、どうでしょう。

          海外だと国や観光庁で決められた各国の基準で、三つ星、四つ星などが設定されていますが、日本には明確な基準がないため、各旅行社の独自の基準で、設定がされています。 同じ宿泊施設なのに、旅行社毎で星の数が違う……なんてことも起こるわけです。 以前(だいぶ前ですが)、グループのうちの某地方ホテルで、某外資系オンライン旅行社と契約をしたときのこと。先方の設定が終了し、画面を確認すると、なんと五つ星ホテルと設定されています。ホテルスタッフは喜んだのですが、残念ながら、星を下げてもらうよ

          日本の宿泊施設の格付けって、どうでしょう。

          ホテルの料金変動はお嫌いですか?

          同じ客室なのに、価格がバラバラで分かりにくい、ぼったくりなの? などなど、お客さまの声として、聞こえてくることがよくあります。 ホテルは他の販売業と違って、売れるから商品を増やそう、なんてことができません。当然、売れ残ったら明日に在庫をまわそう、なんてこともできません。限られた箱(室数)の中で、毎日、適正数を適正価格で販売をしないと儲からないのです。 例えば、50室のホテルがあります。 (注:金曜、土曜日は売れますが、日曜日や週の前半はあまり売れない傾向のホテルだとします

          ホテルの料金変動はお嫌いですか?