研究室で、私は生かされていると知った
研究室に入り、私は生きているのではなく、生かされているんだという思いが強くなりました。きっかけはB4の時の仕事にあります。
私の研究室のB4に与えられた仕事の中に、溶媒庫があります。具体的に言えば、空になったガロン瓶を溶媒庫に持っていき、そこにある一斗缶からガロン瓶に補充する仕事です。ところでこの溶媒庫、とても臭いのです。それも、普通の臭さではありません。日常生活では感じられない臭いです。溶媒庫にはさまざまな有機溶媒の一途が置かれています。アセトン、メタノール、エタノール、ヘキサンなどです。中でも臭いのがTHFです。正式名称をテトラヒドラフランといいます。このTHFがとにかく臭い。鼻というよりは、直で喉にくるような臭いです。もはや臭いというか、ただの刺激のような気もします。なので、溶媒庫にいる間は確実に寿命が縮んだ気がしていました。
溶媒庫にいるとき、私は思ったんです。地球の水が全てTHFだったら、私は死んでるなと。それだけではありません。実験室の試薬棚には危ないものが沢山あります。硫酸や塩酸などの強酸や、水酸化ナトリウムやトリエチルアミンなどの塩基など。匂いがキツかったり、皮膚にかかったら危ないものが多くあります。これらのものが日常生活にないからこそ生きてられるんだなと強く思います。この地球に感謝しながら生きられそうな気がしたという話でした。
それでは