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「未知との遭遇」(1977年)

スピルバーグの傑作、というリストなどではよく名前が挙がる作品。
ちなみに「ローリングストーン誌が選ぶ最高のSF映画150選」でも3位だった(1位は「2001年宇宙の旅」)。

アメリカで大規模な停電が起こったり、未確認飛行物体が飛来するなどといった現象が起こる。そんな中で、主人公のロイ・ニアリーはなにかに憑りつかれたようになり、導かれていく。
といったストーリー。

2時間ほどの作品で、1時間40分ほどを「なにか大変なことが起こっている」という予感だけで引っ張るのは見事だ。
スピルバーグの自伝的映画「フェイブルマンズ」で、子どもの頃に観た「地上最大のショウ」で、機関車が車を吹っ飛ばすシーンに魅了されるところから、スピルバーグはインパクトのあるビジュアルを好むのだとわかる。
だから、「予感」だけで物語を引っ張ることができたのだ。

ビジュアル的なすばらしさはあるのだが、この映画はなにを伝えようとしているのだろうか。アメリカ政府が極秘に進めている宇宙人とのコンタクトを、国民に開示する前に、免疫をつけさせるための「教育映画」だという話も聞くが、いまだに開示は行われていない。
自分は、主人公のロイが自分の中にある、まだ形の見えない「なにか」を追い求める姿に、アーティストがビジョンを形にするために四苦八苦する姿を見た。つまり、本作はスピルバーグ自身が創作の葛藤を語った作品なのではないだろうか。
だからこそ、あまたあるファーストコンタクト物の中でも傑作とされる力を持ったのだと思う。

本作の製作費は28億9千万円。興行収入は443億円。もちろん大ヒット作品ということになるが、それ以上の価値を与えられている作品でもある。

https://www.youtube.com/watch?v=skWMmVG2AZo&t=1s


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