平家物語
まだ放映途中。なかなかおもしろい。
おわりが見えている物語をどのように語るか。
古川日出男の作品を原作にしているそうだが、古川自身も本家の平家物語を原作にしているのだろう。さらにこのアニメでは古川の作品には登場しない琵琶法師が主人公。そうすると、これはもはや古川の作品ではなく、本家の平家物語からの創作なのではないか、という気もする。小生は古川の原作を読んでいないのでなんともいえないが。
キャラクター原案は高野文子。有名な漫画家らしいが小生は知らなかった。アニメのキャラクターは、個人的には志村貴子のような雰囲気を感じる。
おわりが見えていると書いたが、それは誰もが知っている平家の結末であるとともに、本作では未来が見える能力というのが出てくる。つまり、登場人物たちは自分たちがどういう末路をたどるのか知らないが、その末路を見ることができる人物が出てくる。そういう意味でもおわりが見えている。
そして、平家の末路は滅びるのだから、本作は滅びることがわかったうえで生きていく物語なのだ。平家の人々は自分たちが滅びることを自覚しているわけではないが、予感はしている。
無邪気で幸せだった時代はもう戻ってこない。世界はおかしくなっていく。その苦しみの中で戦い続ける。これは現代にも呼応している。平家物語という、今の時代には誰も読まないんじゃないかという文学を、現代の空気感・時代感にあわせてきたところは見事だ。
ずいぶんと悲壮感が漂っている作品なので、ヒットしているのか心配だが、小生は好きだ。
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