エクソシスト
三回か四回観ているが、やっぱりおもしろい。小生の少し前の世代にとっては有名な俳優がたくさん出ているのだろうが、小生にとっては知らない俳優ばかり。
それでも楽しめる。映画そのものに力があるのだろう。
ストーリーは単純で、映画女優のクリスの娘リンダがなぜか悪魔に憑りつかれてしまい、映画女優は病院で検査を受けさせたり、精神分析医に見せたりするのだが、まったく効果がない。最終的に悪魔祓いという、中世的な方法に救済を求める。といったもの。
中心人物となるカラス神父は、信仰を失っており、もう辞めたいと考えている。そして、一緒に暮らしていた母親も死んでしまう。彼は母親を見殺しにしたという後悔の中に生きている。そのストレスから逃れるためなのか、日々ボクサーのようなトレーニングを続けている。
そんな彼がクリスから、悪魔祓いの依頼を受けて、最初は否定的だったものの、やがて、依頼を引き受ける。自分だけではできないので、高齢のメリン神父とともに悪魔に立ち向かう。
この映画には「すべてを失って、ただ後悔の中に生きているだけの人間は、生命を取り戻すことができるだろうか」という問いがあるように感じる。
信仰も、母親も失って、ただ生きているだけだったカラス神父が、見ず知らずのリンダのために自らの命を懸ける。
一緒に悪魔祓いをしていたメリン神父を殺され、カラス神父は自らの体内に悪魔を乗り移らせる。そして、一瞬正気に戻った時、窓から身を投げて自殺する。それは死ではあるのだが、生命の最後の輝きでもあるのだ。
死の間際、友人の神父がカラス神父の手を握り、懺悔をするか問う。カラス神父が手を握り返すと、彼は泣きながら免罪を与える。本作は贖罪の物語だったのだ。これは今回はじめて気づいたことであって、名作映画と呼ばれる作品は、なにかしら気づきを与えてくれるものだと感じた。