カニエ・ウエスト
最近すごいなと思ったのは、カニエ・ウェストだ。
「大統領に、おれはなる!」と宣言して、新作のプロモーションなんじゃないかと言われてしまっている。それはどうでもいい。
ヒップホップ初心者としてはいろいろ聴いて勉強中なので時系列がバラバラだし、知識もあやふやな状態である。
そんな中でカニエ・ウェストが2010年に発表した「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」はすばらしかった。特に1曲目の「ダーク・ファンタジー」がいい。
美しいメロディラインに、投げやりにも聞こえるカニエのラップが乗っかる。もちろん、投げやりなわけがなくて、リズムなどはきちんとあっていている。あえてハズしているような雰囲気にしている。
これはモダン・アートに見られるアプローチに似ている。
バランスを崩しているように見せて、実はきちんとバランスをとっている。河原で適当に石を集めて絶妙のバランスで積み上げていく。その感覚だ。
「ダーク・ファンタジー」からはそのバランスを感じる。
思うにヒップホップは、歌の巧さというのはスタート地点というか、それほど重要ではなくて、むしろ、企画力が評価されるのだろう。どんな曲をどんな風にサンプリングするか、曲のアレンジはどうする、どんな歌詞をのっけるか。
ヒップホップはサブ・カルチャーとモダン・アートにまたがる存在だと思う。
カニエ・ウェストはそういう部分を巧みに乗りこなして、成功しているのだ。とても賢い人なんだろう。これからも注目していく存在だ。
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