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マティス展 Henri Matisse: The Path to Color

マティスというアーティストについてほとんど知らなかった。
名前もスタイルもまったく違うモネと混同していた。

会場で「ジャズ」シリーズの展示を観て、はじめて「観たことがあるな」と気がついた。なぜこん

なにも理解していなかったのか。

自分なりに考えてみると、いくつか理由があって、「ジャズ」シリーズがあまり好きではないということや、マティスの作風というのが把握しにくいということ、もしかしたら、日本では名前は知られているが作品はあまり知られていない、ということもあるかと思う。

そんなあやふやな感覚で展覧会にいったのだが、存外おもしろかった。
新印象派的な作風からスタートし、いわゆる野獣派へと変化していく。マティスの生涯を通じての作品の変遷を追うことができた。

おもしろいと思ったのは、彼の絵において、人物と背景が溶け合っているところだ。
「オーギュスト・ペルラン II」という作品などは、ペルラン氏とおぼしき男性の背後に飾ってある絵画から色彩が溶け出して壁紙と同化している。
こういった要素は随所にみられる。
思うに、彼にとって虚構と現実の境界線は、あいまいだったのかもしれない。だから、絵画も人物(現実)と背景(虚構)が溶け合い、あいまいになっていったのかもしれない。

そして、もうひとつ。マティスは作風をどんどん変えていった。
これは想像だが、マティスは事物の「本質」を見ていたと、解説に書いてあった。そう考えると、本質を表現するための方法を模索し続けた結果なのかもしれない。さらに言えば、本質を模索する旅は深まり、やがては、人間の本質は感情であるという結論に至ったのではないか。感情にダイレクトに訴えることを目指して「ジャズ」を発表したのではないか、と思う。
彼の集大成と言われるロザリオ礼拝堂。ここを訪れた人の心が軽やかになることを願って作ったという。それが彼のアートの到達点だったのかもしれない。

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