「わたしの叔父さん」(2019年)
フラレ・ピーダセンというデンマークの監督の作品。
第32回東京国際映画祭で東京グランプリと東京都知事賞を受賞。
製作費は不明だが低予算だろう。興行収入は400万円。
27歳のクリスは足の悪い叔父を助けながら、伝統的な農場を営んでいる。
彼女が叔父と暮らしているのは、ある理由があるからだった。
日々を淡々と過ごしていく中で、村の獣医が彼女には獣医になる能力があると気がつき、そのための手助けをするようになる。
同じころ、クリスは教会で気になる若者に出会う。
若者のほうも、クリスに好意を寄せてくる。
クリスの人生に、変化が訪れようとしていた。
本作を観ていて「適齢期の娘と父親(役の男性)」という組み合わせから、小津映画を連想していた。しかしそれは表面的に似ているだけだろうと思っていたが、観た後で調べるとフラレ・ピーダセンは小津安二郎を敬愛しているとのことで、納得がいった。
ただし、小津の真似、というだけで済ませてしまうのはもったいない。
こういう田舎の村に暮らすということの残酷さもあわせて伝えている。
物語もよいのだが、本作はむしろ映画に焼きつけられた時間が大切なのだと思う。田園風景の美しさや、昔ながらの農家といった、失われつつある時を伝える役割も担っている。映画というコンテンツは、時間を切り取る機能もあるのだという、当たり前のことを思い出させてくれた。
https://www.youtube.com/watch?v=bynVTsh38Sw&t=1s
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