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パターソン

Amazonのオリジナル作品がおもしろいのかどうか。まだ自分の中で評価がさだまらないでいる。本作は、映画としたら物足りないが、テレビドラマとして見ると、とてもよくできている。この映画はそういう作品だ。
日常の中に、死と再生、もしくは崩壊と再生、そういったものを盛り込む手法がうまくできている。

本作は、ジム・ジャームッシュ監督・脚本。アダム・ドライバーが主演。永瀬正敏もほんのすこし出ている。
アダム・ドライバーはスター・ウォーズよりも、演技力を重視される作品のほうが輝いている。

アダム・ドライバーはバスの運転手を演じている。パターソンという街に住んでいる、パターソンという名前の男だ。妻とふたり。ブルドッグを一匹飼っている。

やはりジム・ジャームッシュ。オフビートだ。
朝起きて、仕事にいき、帰ってくる。妻と会話をしたあと、ブルドッグをつれて散歩にいく。散歩の途中でバーに立ち寄り、ビールを一杯やる。月曜日から金曜日までそれが繰り返される。
パターソンは秘密のノートをもっていて、詩を書いている。彼は地元パターソンの詩人ウィリアム・C・ウィリアムスが好きだった。妻は家にいて、カーテンに模様を描いたり、パンケーキを焼いたりしている。いろいろな夢を持っていて、市場でパンケーキを売って大儲けしたいというものから、カントリー歌手になりたいというものまである。パターソンは妻にギターをねだられて、OKする。

最初の三十分は退屈に感じていた。
スリルといえば、パターソンがバスの運転をするところくらいか。運転をしながら、乗客の会話を盗み聞きしたり、通りの人をチラミしたりする。また、運転しながら頭の中で詩を朗読する。事故を起こすんじゃないかと、はらはらする。
だけど日常は淡々と続いていく。
平凡な日常が続いていくだけだ。途中、コインランドリーで黒人の詩人に会うとか、バスが故障するとか、ちょっとしたできごとはあるけれど、パターソンの日常に影響はない。
土曜日になると妻は市場にカップケーキを売りにいく。夕方になってかえってくると、286ドル分売れたという。これはすごい。いつも家にいるだけの妻が、そんな才能があるとは。妻はごほうびがほしいと言い、2人は、古いホラー映画を見に行く。「獣人島」という映画だ。ぐぐってみたら本当にあった。1932年のアメリカ映画で、ベラ・ルゴシも出ている。
2人が帰宅すると事件が待ち受けていた。
パターソンの秘密のノートがずたずたに裂かれていたのだ。
平凡な日々を描くの時間が長かった気がするが、こうして小さなドラマを積み上げ始めていくところ、さすがにジャームッシュだ。見ていて、なかなか引き込まれる。
日曜日、パターソンは散歩にでかける。川沿いのベンチに腰掛けていると、サラリーマン姿の長瀬正敏が登場。ウィリアム・C・ウィリアムスの生まれ育った街を訪れてみたかったのだという。
永瀬正敏はパターソンに、あなたも詩人なのかと質問する。パターソンは、自分はただのバスの運転手だと答える。永瀬正敏は去り際にパターソンにノートをプレゼントする。
パターソンは再び詩を書き始める。


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