紺色と青【心情エッセイ、夏の連続投稿チャレンジ】
紺の雫の中折れハット。さっと涼風を起こす携帯扇風機。
欲しいと思っていたものは、大体買いそろえてしまった。
夏に限らずいうなら、両手じゃ抱えられないぐらいにはなるだろうに。
この夏欲しい物。
ラムネ?アイス?セミの抜け殻?もっと形無いモノ?
夏の風物詩が、頭に浮かんでは消えていく
――もっと身近でもっと手の届くような一番ワクワクするものはないの?
ふと今年買った中折れハットが思い浮かぶ
そうだ、新しいズボンが欲しい
あの深海みたいな濃紺に似合う、紺色のズボンが欲しい
濃紺のズボンにハットをかぶり、カーディガンを羽織って
少し遠くへ行ってみようか
どこまでも続く海の列車で、夏の思い出を探しに行こう
青に染まった夏の記憶を、濃紺の衣が輝かせてくれるに違いない