2021年8月1日の朝日新聞より

村上春樹「名盤は自分の耳で決めなくちゃ」

(聞き手吉田純子)

吉田〈言葉にならない思いの結晶ともいえる音楽を、再び言葉へと導くのって、永遠に矛盾を追うような作業ともいえないでしょうか?〉

村上〈こと音楽と食べ物に関しては実感を言葉にするのはすごく難しいです。〉

吉田〈どうやって、その言葉を探すんですか。〉

村上〈見つかるまで、しつこく。どんな気持ちでこの音楽を聴いたのか。それが、どんなところに自分を連れていったのか。自分の実感にふさわしい比喩が浮かび上ってくるまで探します。正しいと思える言葉が見つかったときは、すごくうれしいです。〉

    村上春樹がクラシック音楽について語った新著の紹介記事。語っているのは音楽のことだが、短歌についてもかなりの部分当てはまる。表現されたものをどう評するかに、大いに共通点を感じた。村上春樹の発言を引き出す、吉田純子編集委員の質問も的確だ。

2021.8.1.Twitterより編集再掲