周囲にプレママがいる方へお願いごと／安定期は「安定させたい時期」で「安定している時期」じゃない

「安定期に入ったから、もう安心」とお仕事をがんばっちゃうプレママ、「産休まではいつも通りにお願いするよ」と期待する周囲。
それ、ちがうと思うんだよな。
安定期は「心と体を出産に向けて安定させていく時期」だ！

こういう記事って、当事者（妊娠中とか出産した方）にしか、なかなか読んでもらえない。でもできたら男性、子どものいない人、将来親になるかもしれない人に読んでほしい。あなたの部下や上司やご近所さんや友人、街中で会う人がそうかもしれないから。

妊娠、出産、育児のこと、時々書きます。
いま孤独だったり、相談しにくかったり、無理したりしている人が多い気がするので。

私は高齢出産で、息子はもう高校生。
ずいぶん前のことだけど、今も状況がよくなっていないからということもある。
しんどいことが多かったことを今でも思い出す。

今回は妊娠中期の安定期について。

安定期とはいつ？

安定期は妊娠4~5か月くらいを過ぎてから（医学的には妊娠16週以降らしい）。妊娠初期の不安定さや、つわりが収まってくることが多い時期。
流産は妊娠初期が圧倒的に多い。流産の80%が妊娠12週未満の時期になる。
だから、それを過ぎて「安定期」に入ってから周囲に報告することが多い。

私もそうした。

つわりも治まっていたし、もう普通に仕事ができるのだと思っていた。
でもちがった。
「もう大丈夫です」といった手前がんばったけど、なんかちがう。

まず自分のリズムがゆっくりになる。まず、歩くのが遅くなった。
反応も、仕事の進め方も明らかに遅くなった。
まずいんじゃない？と思い、二人目を妊娠中の友人に聞いてみた。

「そうだよね～。そういう時期だよね~。記憶力も落ちるしね」といわれてほっとした。

これはかなり個人差があると思う。
毎週出張していたという知人もいる。
飛行機乗って海外旅行した友人もいる。
バリバリ真夜中まで働いていた人もいる。
大丈夫な人は大丈夫なようだ。

でもわたしはなんだか、体が重くなっていった。

私がこの時期につらかったこと

・私が妊娠中であることを知らなかった先輩社員が、打ち合わせ中に近くでタバコを吸ったこと。
　大先輩だったので「やめてください」といえなかった。でもそのあとで吐き気が止まらなかった。
　夫も当時はスモーカーで、隣で吸われてすごくつらかった。
　今は禁煙も分煙もかなり進んだので、そんなことないといいんだけど。

・仕事中に見学していて、約2時間立ちっぱなしだった。あとでおなかが張った（かたくなった）。

・夜遅くまでの仕事や外食。外食では「もう会えないから」と友人に会っておしゃべりが楽しかったが、帰宅するとグッタリ疲れた。

体と心を安定させる時期

医学書とか、お母さん用への本では「安定期は落ち着く時期なので、赤ちゃんを迎える準備や買い物を進めましょう」
「歯の治療をしましょう」「運動をしましょう」などとある。

そうなんだけど、なんだか大事なことが見逃されている。

この時期に体と心を出産に向けて整えていきましょう、ということだと思うのだ。

なのに忙しい現代人は、（私がそうだったんだけど）「もう安心だからがんばらなくちゃ」とか「周囲に迷惑をかけないように」とはりきっちゃう。
本当は少しずつペースを落として、早めに帰り、ゆったりした気分になる時期。
でも、現実的には難しいよね。

ただでさえ、「これから休むので今のうちにやれることをやろう」「お休みいただきます。申し訳ありません」って思う。私もそうだった。

声をかけるだけでいいから

そんな時にひと言「早く帰ったほうがいいよ」とか「無理しないで」っていってもらえたらすごくうれしい。
そしてその言葉に甘えていい時期なのだ、本当は。

働いている女性のことを中心に書いたけれど、働いていなくても大変なことは多い。
いろいろな問題は周囲に転がっている。孤独だったり、大変な家庭環境のこともある。
どんな人も、休めるときになるべく休んでほしい。

いまなら私も「安定期だからって無理しちゃだめよ」って声をかけたい。

安定期に入っても流産もある。
私も切迫流産だった。切迫流産というのは、妊娠中におなかが張ったりして出血してしまうこと。流産しかかっている状態。

重い話になってしまった。
私は結局、産休に入る前に断続的に休まざるを得なくなり、何度か入院した。

だからプレママさんには、健やかな妊娠生活を送ってほしい！
気をつけていても、健康でも、何が起きるかわからない妊娠期。
人一人の命をはぐくむって、大事業だと思う。

だから生きているだけで奇跡だと、何度も実感した。
いま、生意気になった息子を見てもそう思う。

あなたも生きていることが奇跡。

生きていてくれてありがとう。

だからこれから生まれてくる命のために、できることがあったらしたい。
声をかけるだけでもいい。

安定期、できるだけ柔らかい気持ちですごしてほしい。

周りにいたら、「大丈夫？」「体調はどんな感じ」などちょこっと気を遣ってくれたら、あなたは”神”だ。