二/レージフリーク
「終わりのない蜜の迷路おぼれてしまうけど。一つ消えていく、偽りの道……」
麗次はホテルのバスタブに立ち、頭からシャワーを浴びていた。
「いや、一つ癒えていく、偽りの道……」
両目を閉じ、脳裏にひらめく言葉を端から口にしていく。
すると突然、インターホンが鳴った。
「やば」
慌ててシャワーを止め、バスローブを無造作に羽織った。風呂場を飛び出し、ドアスコープを覗いた先にはリュウが立っていた。
ツアー中の絡みの打ち合わせは麗次の部屋でするのが常だった。食事や風呂を済ませ、眠りにつく前のリラックスした時間が、一番大胆な発想が生まれる。どんなことにも、麗次は妥協を許さなかった。
びしょ濡れになった姿に、リュウは目を見開いた。カーペットの上には雫が絶え間なく落ちている。
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