十九/レージフリーク
「出ねぇ……」
響は車から降りると携帯電話を睨みつけた。その後には淳が続き、彼の背中を強く押しやった。
「立ち止まらないで下さい」
響のマンション前には不自然な人影がちらついていた。それは彼を確認すると、一斉に水を得た魚のように動き出した。手にはカメラを持ち、遠方から口々に呼びかける。
「三条響さん!」
淳はエントランスの扉を慌しく開け、険しい顔つきで言った。
「マスコミです。振り向かないで下さい」
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