二十/レージフリーク
「おまたせ」拓也はひとけのない駐車場で響を拾うと、自宅へ向けて車を走らせた。
「待っただろ」
背もたれに全身を預けている響をバックミラーで確認する。痣の残る頬。目元には疲労が色濃く表れ、漸く緊張の糸が切れたようだった。
「いや、こっちこそ急で悪いな。まるで犯罪者になった気分だぜ」
抑揚なく呟く姿に溜め息をつくと、拓也は折りたたまれた新聞を後ろに突き出した。
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