八/レージフリーク
拓也は音楽スタジオのロビーでパソコンを開いていた。誰も居ないソファに腰かけ、ライブのスチール写真を一枚ずつ確認する。
傍らにはあのバングルを置いていた。それを指先で弄りながら、スポットライトの下で妖艶に熱唱するレージを凝視した。
──確かに魅力的、だよな……。
半開したワインレッドの唇に焦点を絞り、ぼんやりとそれを拡大する。そこへ、いきなりスタジオの扉が開いた。中から重厚なベース音が漏れ、隙間から麗次が顔を出した。
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