十五/レージフリーク
コレクションも終わり、出演者は別館の打ち上げ会場にいた。賞賛の言葉を浴び続けた響はグラスを片手に人目のつかない壁際に立った。
──ロンドンも時間の問題だな。
満足そうに頷いていた森の言葉が蘇っては小さな重りを置いていく。
パリ、ミラノ、ニューヨーク、そして、ロンドン。四大コレクションを制するのが目標だった彼にとって、三ヶ国を手に入れたことは栄誉だった。しかし、胸で何かが燻っている。
これでまた日本に居られる時間が減る。麗次とも会えなくなるだろう。そのことが、どうしても切り離せなかった。
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