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大学受験の失敗から「今」を考える〜オムニバスZINE「しくじり見本帳」に参加して〜

フリーランスのライターとして活動して丸3年。

今年度、マイナーチェンジではあるけれど、仕事の方向性を少し変えることにした。これまでいろいろなタイプの執筆を組み合わせてきたのだが、その種類を絞り込んでいる。

自分が納得できる記事を書くため、今後も書き続けていくための苦渋の決断だ。

まあ、元々それほどたくさんの仕事を受けていたわけでもないのだが、とにかくじっくり考え、読み、書く一年にしようと腹を括った。

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一方で、今年は仕事以外でも「書くこと」を深めてみたいという気持ちが生まれてきた。偶然にも、昨年末に入会したオンラインサロン京都くらしの編集室のおかげで、新しいチャレンジを形にすることができた。

有志メンバー16人で作るオムニバスZINEに私も加えてもらい、エッセイを執筆した。完成したのは、失敗をテーマにした『しくじり見本帳』だ。

16人分のさまざまな失敗が集結?しているので、なかなか読み応えのある内容に仕上がっている。「自分もこんな失敗したな」というものから、かなりハードな経験まで揃っていて、見本帳という名前がぴったり。

表紙にもあるように、読むと元気がふつふつと湧き上がってくる。私も編集過程でみなさんの原稿を読み、勇気と生きる力をたくさんもらった。
※19日の東京文学フリマ38にて販売予定(R-31、32/詳細は記事末を参照)。

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オムニバスZINEで私が書いたのは、大学受験の失敗談。

最初に「失敗」というお題が決まっていたので、何を書こうか思案した。これまで大中小さまざまな失敗を重ねてきた自信?があったのだが、いざ考え始めるとなかなか決まらない。ではなぜ受験を選んだのかといえば、単純に「誰が見ても大きな出来事(失敗)」だったこと(笑)と、身近に比較対象があって興味深かかったから。

素敵なイラストまで書いていただき、本当にありがたい!

詳細は是非ZINEを手に取ってお読みいただきたいのだが、実は書いているうちに、この失敗には「もう一つの側面」があると気づいた。

文字数の制限もあり、本編には盛り込めなかったこの裏テーマについて、ここでは「姉妹編」として書いてみたい。

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本編で触れなかった私が受験に大きく失敗した理由、それは「普通の勉強方法にこだわってしまったこと」だと思っている(というか、書いている途中で認識した)。

当時はまだまだ「寝ないで勉強した方がいい」的なことが信じられていて、私も睡眠時間5〜6時間で毎日を過ごしていた。

それくらい寝ていれば十分でしょ? と思った方もいるかもしれないが、私は元々睡眠時間がたくさん必要なタイプ。毎日この程度では全然足りなかった。夜中まで勉強し、机に座ったまま寝てしまう……なんてことも日常茶飯事。

その結果、とにかくいつも体調が悪かった。眠くない日は存在しないし、体調不良で学校を2〜3日休んでしまうことも頻繁にあった。常にぼーっとしており、勉強しても内容が頭に入ってこない。

今なら誰もが(もちろん私自身も)、もっとしっかり寝て、効率的な勉強方法を考えたほうがいいと思うだろうし、そういうやり方にシフトするだろう。けれどそのときは、「これ以上寝ていたら絶対落ちてしまう」と頑なに信じていた。

友人の中には、いつも体調が悪そうな私に、「一度ゆっくり寝てみたら、すっきりしてもっと調子が出てくるんじゃない?」とアドバイスしてくれる子もいた。そうだよな……と思いつつも、私はそれを受け入れられなかった。

結局、「人と違う方法」を取り入れるのが怖かった。言い換えれば、「自分にあったやり方」を信じる勇気を持てなかったのだ。

それだけではない。そもそも「推薦入試」については、あまり調べることもなく除外していた。今ほど推薦のバリエーションはなかったし、行きたい学部の指定校推薦がなかった。でも、きちんと検討さえしなかったのは、「一般入試」という普通の基準、多くの人が実力を認める方法で合格したい、という考えにとらわれていたからではなかったか……とも思う。

「世間で価値があると思われている方法」にこだわらず、もっと自らの特性をよく考え、自分に合った方法を実践する勇気、賢さが必要だった。

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あのときの教訓を、20年以上経った今、噛み締めている。

同じ失敗をしないためにも、今度は「一般的な方法」ではなく、自分が信じるやり方で、ライティングの仕事を広げていきたい。

もっとたくさん仕事を受けた方がいい、猛烈に数をこなす時期も必要、そんな言葉に心が揺れる日もある。だけど今は、「多くの人が成長できたやり方」を自分に当てはめるのではなく、自分がしっくりくる方法を信じたい。そして、勇気を持って選択したい。

失敗談のエッセイを書いて、そんなことを考えた。

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▼ 文学フリマ東京38
開催:2024年5月19日(日)
ブース番号:R-31〜32 (第一展示場)
時間:12:00〜17:00(最終入場16:55)
入場料:1,000円
会場:東京流通センター 第一展示場・第二展示場

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