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駅弁が思い出の味
うちの地元にはかしわ飯、という郷土料理がある。かしわ、というのは福岡の方の方言で鶏、という意味だ。駅弁としても売られている。
鳥と米を醤油と砂糖で甘辛く似たものに、卵と海苔をのせて食べる。これだけでもう大満足なごちそうになる。
高校の体育祭の時などは、これを家族みんなでまとめて頼んで昼ごはんとして食べていた。醤油のしょっぱさとのおかげで、米が進む。
実は先日、茅乃舎という福岡で有名なだし屋さんがあるのだが、そこのだしのセットを誕生日プレゼントとしてもらった。2月生まれの私だが、会う機会がなく自粛が開けた頃に久々に遊んだ友人がくれたのだ。
昆布だし、椎茸だし、鶏だし…と様々なだしの詰め合わせをもらった。ありがたいことに、それぞれのだしに合った料理レシピの冊子まで着いてきた。
その中に発見したのだ、かしわ飯を。
福岡のだし屋さんが教えてくれるレシピなら、これはきっと間違いなく地元の味を再現できるはず。と、期待は高まった。
以前、目分量で料理をすると言った私だが、今回はさすがに失敗できない。なんたって、だしの数は限られている。そして何より、私は地元の味が食べたい!というわけで、大人しく大さじと計量カップを取り出した。
炊飯器から、鍋から、懐かしいあの駅弁の香りが漂ってくる。本当は九州醤油のあの甘い醤油を使いたかったのだが、東京のスーパーではおいそれとは買えないので諦めた。
鶏肉は煮汁がなくなるまで煮込む、ということで30分ほど煮込んだだろうか。しょうゆの甘辛い匂いが広がった。
錦糸卵を作るのは苦手だ。広く大きくなってしまうのは容赦してほしい。海苔は味付け海苔を刻ませてもらった。
そんなこんなで出来上がったのが、1杯のかしわ飯。
意外と見た目は悪くない。しかも、香りが地元で嗅いだあの匂いに限りなく近い気がする。
そして、一口。私は感動した。
鶏だしありがとう!!
醤油はやっぱり、どこか辛すぎる気もするけど、これはこれで美味しい。これだよー私が食べたかったかしわ飯ー。
米の中にゴボウとか人参とか要らないんだよね。もう、醤油と酒とだしを入れて炊いただけの茶色いお米でOK!ちなみにその茶色い米を見た彼氏の感想は、
「炊飯器に入れっぱなしの米と似てる」
だったが、まぁ美味しく食べてくれたのでよしとしよう。お風呂から上がってもリビングが懐かしい匂いが漂っていたのも、なかなか食欲をそそる夜だった。