エッセイスト 元新橋芸者 千代里
エッセイスト。講演家。元新橋芸者。東京メトロ駅設置の「メトロポリターナ」にて、お多福美人講座連載中。著書に『捨てれば入る福ふくそうじ』など。ここでは、芸者時代のこと、講演で話している男女の違い、コミュニケーションや自分を大切にする方法などについて綴ります。疲れた時のホット一息に。
最近の記事
マガジン
記事
その⑦ 工夫が命を救った。知恵で人を救う人こそ政治家 『世界で一番幸せな男 101歳、アウシュビッツ生存者が語る美しい人生の見つけ方』を読んで
この本には、小さな工夫や機転が命を救ったシーンが数多く出てきた。 収容所に列車で運ばれるとき、200ℓのドラム缶が二つ置かれた。一つは飲み水が入ったもの。一つはトイレとして。 1,500人が乗せられ、一つの貨車に150人。 ギュウギュウに立ち、膝をつくことはできても、寝たりコートを脱いだりはできない密度。外は凍えるほどの寒さだったにも関わらず、中は空気が淀んでたえがたい暑さだったという。 そんななか、エディのお父さんはどこに隠していたのか、携帯用の折りたたみコップとア
その⑥ うんと甘やかされた経験が命を救ったのかもしれない 『世界で一番幸せな男 101歳、アウシュビッツ生存者が語る美しい人生の見つけ方』を読んで
『世界で一番幸せな男 101歳、アウシュビッツ生存者が語る美しい人生の見つけ方』を読んで感じたことのなかに、 「子供を甘やすのって大事なんじゃないか」 というのがあった。 エディが子供時代に愛情いっぱいの家族に囲まれて育ったことや、エディの両親がとても愛情深い人で、誰に対しても親切だったことは今までにも書いた。 だからこそ、エディは子供時代に蓄えた愛情に支えられて凄惨な経験の中でも生き延びられたのではないかと思ったことも書いた。 とはいえ、両親に注がれた愛情の中には
その⑤エディのおかげで苦しみの荷物が下ろせそう『世界で一番幸せな男 101歳、アウシュビッツ生存者が語る美しい人生の見つけ方』を読んで
人はときに、自分より、自分の大切な人の痛みを辛く感じるものだ。 この電話もそういう類の内容で、小さい頃から何度、私の大事な人たちを傷つける人を憎んだかわからない。今も、話を聞けばやり場のない怒りがわくし、人間てこんなに醜いものだろうかと思う。 ひどいことをする人たちのところへ行って、散々罵りたくなるし、地獄に落ちろと願ってしまう。 他人からの悪意がきっかけで、身近な人とまでも何度喧嘩になったかしれないし、そのことばかりを考えて、どれだけ暗い心になったかわからない。