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気持ちよくお金を払つてもらう①

お財布の中からお金を支払ってその姿が消える時、人は『お金が無くなってしまった』と感じる。
本当はそのお金と引き換えに食事や品物を受け取っているのだが、心が寂しくなるのは、その内容に満足をしていないからなのかもしれない。

例えば、自分好みの素敵な雑貨屋さんで、物凄くオシャレで周囲の人と被ることもなさそうな書き心地のよい千円のボールペンを発見したとする。
100円のボールペンなら10本買える。
しかも普段使っているボールペンが壊れたわけでも、インクが切れたわけでもない。

併せて来年の手帳も発見。そのお店オリジナルのデザインで、シンプルなのに存在感がありコンパクトで軽い限定品。
こういう『モノ』たちとの出会いはいつも突然で、なぜかお財布に余裕がない時が多い。

けれど、今買わないと後悔するような気がするし、まして限定品で、やっぱり欲しいと思って改めてお店へ行った時に売切れていたりしたら、それはもうずっとその先、後悔することになる。
また、旅先で訪れた場合なら尚更その気持ちは高まり、もうしばらくは来れない。今買わないと後悔する。と自問自答を繰り返す。

そして、『可愛い手帳だね。』『すごく書きやすいオシャレなペンだね。』などと言われ誇らしくなったり、お気に入りのステーショナリーを使うと仕事までもが楽しく感じられ、ニコニコと仕事をこなしている自分を想像する。

悩みに悩み、自分にとってそれらが必要だと判断し、購入を決める。
実際に使ってみても心地よく、その時自分が決断したことが正しかったと実感する時、果たして『あ〜あ。お金がなくなってしまった。』と思うだろうか?
『お金は使ってしまったけれど、やっぱり買って良かったな。』と、何だか誇らしげに胸を張る自分がいるのではないだろうか?

気持ちよくお金を使う。
物を得る道具としてお金を使った時、この満足感が得られると人は気持ちよくお金を払うのだと思う。更にはもっと使っても良いとさえ思うかもしれない。

商売をする者は、つい自己満足で自分が良いと思う物を提供しようとする。安くて喜ぶだろうとチープな物を『どうだ!』と提供しても相手に響かなければ意味がなく、逆に自分にとっては最高だと思うような高価な物を陳列していても、このお客さんの自己肯定感を上げるポイントを突いていなければ、ただ高い物を掴まされ損をした。となってしまうはずだ。
成功する人は、店内の雰囲気、スタッフの接客の距離感、置いてある品物、流れる音楽全てにおいて、訪れた者を満足させる、よく注意しないと分からないような絶妙な空間を創り出しているのだと思う。

これは私がKITTE丸の内にある『アンジェ ビュロー』という京都発の文具店を訪れて感じたこと。訪れた時に購入したペンと手帳は私を満足させ、このような気付きを与えてくれた。

これだから街歩きはたまらない。
刺激と気付きに満ちている。なんだか行き詰まりを感じている時は1度外の世界へ出て周囲を見回すと良いのかもしれない。

今回はこの辺で。
次回は手元には何も残らない『食事』の場合の気持ちよくお金を使うことについて。

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