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礼遇 ーおもてなしー

社宅の階段を駆け下りてきた彼女は、昔と変わらなかった。
毎朝、始業ギリギリに部活バッグを肩から提げて教室へ駆けてくる
あの頃のままだった。

だけど

「遠路はるばるきてもらったんだから、しっかりおもてなししないと」
そう言ってお菓子や飲み物を次々と冷蔵庫から出してくれる。
「旦那と見に行ったんだけど、すごく綺麗だったから」
練習を重ね、運転できるようになった車で下灘駅へ夕日を見に
連れて行ってくれる。
「どの温泉にする?」
幻想的に光り輝く夜の道後温泉街を案内してくれる。

新天地で身を固めたその姿はとても頼もしかった。

見知らぬ地を見知った人にもてなしてもらうことで旅は一層豊かになる。

「次は別の所案内するからね」
大きく手を降って私達を見送る彼女に来年もまた、会いに行く。

いただいたサポートを糧に、更に大きくなれるよう日々精進いたします(*^^*)