【ちよだプラットフォームスクウェア】19周年記念イベント前編
都市と地方の連携に取り組んでいるちよだプラットフォームスクウェア。
19周年を迎えた今年、豪華なゲストをお迎えし周年記念イベントが開催されました。
イベントは、トークセッションとグルメセッションの2部構成。超豪華な4時間となりました。
トークセッション
今年のテーマは、
【「再生」(リジェネラティブ)と「循環」(サーキュラー)から描く都市と地方の未来像】
まず、プラットフォームサービス株式会社代表取締役社長の丑田より、ちよだプラットフォームスクウェアの説明、秋田県五城目町で行っている二拠点生活について、また今年4月から行っている職員育成研修制度について説明しました。
日本初の「非営利型株式会社」という組織で立ち上がったこのちよプラですが、”繋がりの資本”を大事にしていると、丑田は話します。
また目に見えない資本を大事にすることが、「都市と地方どちらかが支援する/されるの関係を超える」可能性を持っていると。
今回は、「答えのない問いを、共に考え世の中に問いかけていく場」として、御三方のスペシャルなゲストをお招きしました。
山川 咲 氏(神山まるごと高専 クリエイティブディレクター / 株式会社ecommit 取締役)
幼少期に「普通の子になるのが夢だった」と語る山川氏。大学卒業後「世の中を変える人間になりたい」と思い東京へ就職。
25歳で「CRAZY WEDDING」を企業。不可能だと言われた完全オーダーメイド結婚式を生み出します。
この時、山川氏が大事にしていたことそれは、
”結婚式は自分の人生を肯定する日。すべての過去があるから今の自分がいる。”ということ。
このお話を聞いて、山川氏の幼少期の経験があるからこそ、”今までの人生を肯定する”結婚式を生み出すことができたんだと感じました。
その後、毎日放送「情熱大陸」に出演など順風満帆な日々を過ごしますが、34歳の時「CRAZY WEDDING」から独立し、奄美大島への移住を決意。駆け抜けた日々から新たな世界へ飛び込みます。
株式会社SANUの社外取締役として社会復帰した山川氏は、20年ぶり日本初の高専新設校「神山まるごと高専」のクリエイティブディレクターとして創業メンバーに抜擢されます。
そして、開校資金とは別に寄付で110億円集め学費の無償化を実現させる。どんな家庭環境でも学べる学校を3年で創り上げました。
当時の山川氏は「寄付で100億円集めるなんて絶対無理ー!」と思っていたそうですが、仲間と協力してあきらめずに取り組んだことで達成できたと話します。
現在は、鹿児島にある「ECOMMIT」の取締役CBO(Chief Branding Officer)として環境問題へ取り組んでいます。
「できるかできないかわからないけど、やらないと後悔する」
”環境問題の世界に飛び込むことはとても勇気のいることでした”と語る山川氏。
しかし、以前からこの課題に取り組まれてきた方への感謝の気持ちから、「できるかできないかわからないけど、やらないと後悔する」この思いを強く抱き、環境問題に取り組むことを決意。物を捨てずに再活用し循環していく世の中を目指して活躍されています。
どんな自分でも自分という存在を受け入れる勇気を持ち、挑戦・経験するうちに大切な仲間と出逢い、困難を一緒に乗り越えていくことの大切さ。
今の自分がいるのは過去の自分があるから、そして今の自分を作っているのは過去の自分だということを教えていただきました。
友廣 裕一 氏(合同会社シーベジタブル 代表)
「みなさんは今までに何種類の海藻を食べたことがありますか?」
友廣氏の質問に会場の様子は、「うーん。どれくらいだろう。」と少し困惑気味。
すると丑田から「青のり、昆布、わかめ・・・やばいもう思いつかない!」
ここで10種類出てくると海藻IQがかなり高いとのこと。
良く食べられている海藻は、
こんぶ、わかめ、のり、ひじき、もずく、あおさ、青のり、あかもく、海ぶどう、てんぐさ、とさかのり、えごのり・・・などなど。でもこれはほんの一部。
実は、日本の海域には1500種類の海藻がいると言われています!しかし、現在日本で食べられている海藻は、わずか100種類ほど。残りの1400種類の海藻が日本の海に眠っているということなんです。
いまだ、食べられたことのない食材が日本に1400種類もあると考えるとすごいと思ったのと同時に、なぜ今まで注目されてこなかったのだろうと不思議に思いました。
そして、海藻は「世界人口が増加する中で、人類が向き合うべき食材」だと友廣氏は語ります。
なぜかというと、海藻に含まれる”栄養成分がとても高い”から。
普段食卓にもよく並ぶ「海苔」や「青のり」からは、なんとたんぱく質が30%以上取れるという結果が出ているんです!
そう考えると、ダイエットや筋トレをする人が増えているこの世の中、手軽に食べることができる「海苔」も意識して食べると効率がいいのでは?と思いました。
また海外ではあまり食べられてこなかった海藻ですが、栄養素が高いことから少しずつ注目され始め現在欧米地域で、ものすごい勢いで海藻が食べられているそうです!
また、友廣氏が海藻栽培を始めるきっかけとなったのが「アオノリ」なんだとか。
高知県の四万十川が主要産地とされている青のりですが、昭和55年に60万トンの養殖がされていた時代からどんどん減り、平成22年にはなんと0㎏に。原因は海水温の上昇、そして青のりが育つ穏やかできれいな適地が失われてしまったから。
これらの課題から友廣氏のアオノリ陸上養殖がスタート。
話を聞くと、井戸水で陸上養殖をしているとのこと。それは水温が安定することで一年中アオノリを育てることができるから。
最後に「磯焼け」という言葉が挙げられました。これは海藻が生えないということではなく、無くなっているということなんです。
どういうことかというと、地球温暖化に伴う海水温の上昇が原因と言われています。
秋から冬にかけ水温が低温となることで、ほかの小型生物たちは活動を止め、海藻だけが育つ時期があります。しかし、水温が上昇しているため小型生物たちは活動を止めることはなく海藻の芽が生えたときに食べられてしまい海藻がなくなってしまっているんです。
この影響から天然で海藻を育てることが難しいため、”海面養殖”にも取り組まれています。
海に海藻が増えると魚たちも増え、海にとっても私たちにとってもプラスなことですが、育った海藻の行き先=消費地がないことが今の課題。
これを解決するために、まずは都市でおいしく海藻を食べることで海を豊かにできる循環作りを目標に、都市と地方の連携に取り組まれています。
”新しい海藻文化を作ることで、豊かな海を育んでいくために”
普段何気なく食べていた海藻ですが、このような課題があることを初めて知りました。どんな仕事においても、「循環」や「再生」が大事になることを改めて感じました。
内田 友紀 氏(都市デザイナー)
福井県福井市に生まれ育ち、大学で建築・都市計画を学んだ内田氏。その中で学生時代から現在に至るまでの自分への問いが生まれます。
それは、「自律的で創造的な都市・地域とは?」という問。
どこで生まれ育ってもその人の可能性を切り開くことのできる街はどうやったらつくれるのだろう。この問いが生まれたのも、福井県で育った内田氏の背景があるあらだと感じました。
その後物理的なデザイナーとして建築に携わっている中、ブラジルで大きな体験をします。
それは、一人一人のオーナーシップに火が付いたときに、その人たち自身が描く未来の先には、デザインの関与をとっくに超えて、都市の変化を牽引するということ。
最終的には、その人の思いや熱意が人や物を変える力を持っているということだと感じました。
今回のテーマの「再生と循環」の背景には、線形経済モデルが関わっているおり、大量生産や個別最適化が進んだことにより資源も組織もボロボロになっている。これをなんとか循環型社会にしようと試行錯誤している。と内田氏は語ります。
とはいえ、ここまで大きく複雑化した課題を、誰がやるの?なにから手をつけるの?と途方に暮れる日々もある。
それでも今、重要だと感じていることは、
”個別分業してきた仕組みを編みなおし、新たな連携の土壌を作る”
”「わたし」からはじめ「わたしたち」のために動き出す=1人1人のオーナーシップが牽引する”
複雑なことだが、これが再構築する仕組みだと内田氏は語る。
個人「わたし」からスタートしたプロジェクトを、「わたしたち」にまで変化させるには、これまでの専門分野から抜け出て、手を取り合い、社会の変化へと働き続けることが重要だと。
最後に、「都市という場所からできることって何だろう?」と私たちへの問いが飛び出しました。
どのスケールで、何系を担うのかで、全くゴールは変わってくるが、
ちよプラが神田の街に働きかけることにはどんな意味があって、この場所を持つことの意味はなんなのか?
この後のトークセッションで
「都市における場から/場で何を始める?」をトークテーマとして登壇者にに投げかけました。
「わたし」から始めたプロジェクトを「わたしたち」に広げるために、今ある専門分野から抜け出し、仲間と共に新たな連携の循環を作っていくことが重要だと感じました。
ここからは対談と、グルメセッションに続きます!
続編はこちら↓
ちよプラとは?
ちよだプラットフォームスクウェア(通称ちよプラ)は、様々な世代と地域が共創しながら新たなビジネスや文化を生み出していくシェアオフィスです。フリーアドレス制/個室制のオフィス入居・会議室の貸し出しを行っているほか、旬の野菜を育てている屋上庭園や周辺の中小ビルと連携した別館「ANNEX」、”人と事業と文化がそだつビル”「錦町ブンカイサン」など、常に変化し続ける環境づくりを進めています。
この記事を書いた人:宮澤
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