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[ショートショート] タントラとはつまり機織りなのよ:インドを編む山荘

 山姥が出るとの噂の山荘に興味本位で来てしまった。

 山姥はいなかった。かわりにイカれた女がひとり。

 さっきからずっとインドの話しをしているが、放漫な胸元に目が行ってしまい全く話が頭に入って来ない。

「タントラはサンスクリット語で縦糸を表します。つまり、縦の糸がわたし、横の糸があなたなのです」

 なんかどっかで聞いたようなフレーズだが、つまりこの女は悟りの話をしているようだった。

 真理を得るために男女の統一が必要である。二つの性が交わる必要がある…。

 タントラとはつまり、性行為によって宇宙を知る教えなのだ。
 彼女はそれを美しく「機織りと一緒よ」と表現していた。

 僕は変な味のビールでほろ酔いだった。

 いろいろどうでもよかった。

 気が付いたら女の身体に貪りついていた。

 翌朝目覚めると、隣に皺くちゃの婆さんが倒れて死んでいた。

 僕は悲鳴をあげ荷物をまとめ逃げ出した。

 それからしばらくして、また例の山荘で山姥が出るとの噂が聞こえて来るようになった。

 僕はまた行ってもいいかな、と思っていた。

(444文字)


たらはかに(田原にか)さんの『毎週ショートショートnote』に参加します。

既に合体テーマでひとつ書いてるのですが、『インドを編む山荘』単体でもちゃんと書きたいと思って考えました。
『インドを編む山荘』ってなんだよ!!!!ってしばらく時空の彼方にいましたが、戻って来れました。

楽しいお題をありがとうございます。



ちなみに、ちょっと興味あって、ChatGPTにも『「インドを編む山荘」でぶっとんだ410文字の物語を作って』と頼んでみました。
AIがどう解釈するのか見てみたくなったの。

↓↓↓↓


深いジャングルの中、迷路のような道を進むと突如現れるのが「インドを編む山荘」だ。この山荘は普通じゃない。なぜなら、そこではインド全土を糸で編み直すことができるというのだから!

山荘に入ると、目の前に広がるのは巨大な糸の山。ガンジス川は水色の糸で、タージマハルは白いレース編み。おまけにインド象までが糸でできた編みぐるみ! 宿の主人、巨大なターバンを巻いた男は「さあ、インドを編み直してみよう!」と興奮気味に言う。私はカレーの香りが漂う黄色い糸を手に取り、次にチャイを象徴する茶色い糸を選んだ。

編み始めると、なぜか手元から実際のカレーが湧き出してきた!そして、チャイの糸を編むと目の前にホットチャイが登場!もう何が現実なのか分からないまま、私は手を止められずにインドをどんどん編み続けた。

夜が明ける頃、なんと山荘の中にはミニチュア版のインドが完成していた。リアルすぎるし、象も動いている!

(392文字)


や、やるな…。

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